・LIFE SHIFT 2 100年時代の行動戦略
著者:アンドリュー・スコット、リンダ・グラットン 訳:池村千秋
出版:東洋経済新報社(Kindle版)
ベストセラーになった「LIFE SHIFT」の続編。
…なんですが、基本的なコンセプトに大きな変化はありません。
「長寿社会」(人生100年時代)になることで、「20代前半までの学習期間/60代半ばまでの就業期間/60代後半以降のリタイア時代」という<3ステージ>で人生が考えられた時代から、複数のステージが短期で入れ替わる時代となる
…というのが基本コンセプトです。
前作の発表以降、いろいろな意見や実例を踏まえて深化し、具体化した内容をまとめてアップデートしたって感じでしょうか。
架空のキャラクター(20代の日本人夫婦、20代独身のインドのフリーランサーの女性、30代のロンドンのシングルマザー、40代のアメリカのトラック運転手、50代のオーストラリアの女性会計士、70代のイギリスの元エンジニア)を設定して、その視点を盛り込むことで、考えられている社会の変化(ライフ・シフト)がそれぞれにどういう風に捉えられるかを論じるスタイルとなっています。
前作以降、高齢化が世界的に進展し、AIを中心としたIT化が働き方に及ぼす影響も具体的になってきた中で、作者たちの主張のリアリティが増してるってのもあります。
(コロナ禍は更にそれを後押ししています。その言及は「はじめに」くらいですけど)
前作を読んだときは、「自分がどういう風に<ライフ・シフト>を捉えていくべきか」という視点で読んだ覚えがあるんですが、本作はどちらかというと、「子供たちはどういう時代を生きていくことになるか」って視点で読まされました。
僕自身もまだon the wayではありますが、そうはいっても「3ステージ時代」のバリエーションから大きくはズレないかなって感じになってますからね(サラリーマンですから)。
定年が65歳のままか、定年延長に引っ掛かるか。
もちろん長寿時代を考えると「それ以降」も考えなきゃいけないんですが、そんなにバリエーションがあるわけでもないですし。
一方で子供たち(上が高校生、下は中学生)はまさに本書が論じている<未来>を生きていく世代。
長期的には社会制度や教育制度で「シフトチェンジ(移行)」のリスクをカバーする時代がいずれはやってくるでしょうが、そういう制度的なカバーが整う前に社会に出て、働き始める可能性の方が高いでしょう。
そこまでは「個人」としてそういうリスクに対峙していかなければなりません。
本書は、将来の制度的なカバーについても論じていますが(政府・企業・教育がどう変わるべきか…という視点で)、メインとなるのはそれが整うまでの「個人」としての戦略の取り方について…です。
そういう意味じゃ、ある意味「新自由主義的」w。
でも「個人」として考える場合は、そういうスタンスで考えざるを得ないというのはあります。
即座に社会制度が切り替わるわけでもないですからね。
<ライフ・シフト>の考え方は、
「こうあるべき」
というよりは、
「こうならざるを得ない」
という考え方だと思いますし、前作から本作までの時間の経過はその後押しをしているように感じています。
その中で「個人」としてどういうスタンスを取るべきなのかを考え、戦略を取りつつ、<ライフシフト>を前提とした社会制度のあり方を模索していくべき…というのが本書の主張だと僕は捉えました。
難しいですけどね。
日本についていえば、「労働法制」の問題に踏み込むことになりますから。
そこでグダグダするのか、もはや待ったなしとなって踏み込むのか。
今回の衆院選では「踏み込もうかな」って気配も見えています。
さて、どうなりますか?
(僕個人としては「健康寿命」を考えながら60代・70代を展望するステージに入ってる認識です。「介護」もリスクとしてはあります。
子供たちには「ライフシフト」を念頭に置いて「可能性」の選択肢を増やしておくことかなぁ。
結局、「教育」の後押しをする…ってことになるんですが)
#読書感想文
#life_shift_2