・泣いてちゃごはんに遅れるよ
著者:寿木けい
出版:幻冬舎
bar bossaの林さんのnoteで紹介されてるのを見かけて、購入。
「寿木けい」さんは、Twitterでのレシピ紹介で有名になった方で、編集者らしいってのは知ってました。
本書はレシピ本じゃなくて「エッセイ」。
25篇のエッセイが収められていて、200ページほどの本です。
「まあ、すぐ読めるかな」
と思ってたんですが、3、4日かかったかなぁ。
難しいわけでも、面白くないわけでもないんですが、1篇を読んで、すぐに次に…って気分になれない本でした。
基本的には「暮らし」に関するエッセイ。
作者が大切にしてるのは「丁寧な暮らし」なんでしょうね。
でもそれが「清貧」とかに向かっていくんじゃなくて、それなりの「豊かさ」や「贅沢さ」にも支えられています(精神的にね)。
友人たちとの遊びっぷりや、過去の一人時間の使い方なんかには、それなりの「やんちゃ」ぶりやスタイルへのこだわりなんかも顔を覗かせています。
そこらへん、ちょっと個人的には「ザラ」ついた感じを覚えたりもしました。
「ん?その他人との距離感って、どう?」
…みたいな。
年代的には同年代か、少し下でしょうか?
割と「ジェーン・スー」さんを連想するところもあります。
スーさんの場合、自分の主張も、自分自身の戸惑いも過ちも、論理的な言葉で説明しようとするところがあるんですが、寿木さんの場合は、そこまで詰めない…というか、どこか余地を残すというか。
ちょっと「文学的」という印象かもしれません。
いや、実際、文章はうまいと思います。
…とか思いながら読んできてて、最後の2篇のところで、寿木さんとの距離感を測っていたような自分を、ポンと後ろから叩かれたような気分になりました。
叩かれて残ったのは自分自身への問いかけであり、自分自身のこれからへのあり方への想い。
<元気に生きているだけじゃだめですか>
だめじゃない。だめじゃない。
阪神大震災や、東日本大震災は、僕にとっての「木陰」が何なのかを自問するきっかけになってきたんですが、時にそれを忘れてしまう時がある。
本書を読んで、ポンと叩かれたような気分になったのは、多分少しだけそれを忘れかけてたからなのかもしれません。
なんだろうなぁ。
個人的にはちょっと不思議な読後感になりました。
悪くはないけど、軽くもない。
でも忘れがたいものは何かあります。
池波正太郎に影響されたもの同士だからかしらんw。
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