・マカロンはマカロン
著者:近藤史恵
出版:創元推理文庫(Kindle版)
「サクリファイス」シリーズの近藤史恵氏の「日常ミステリー」シリーズ。
<ビストロ・パ・マル>を舞台に、三舟シェフを探偵役としたこのシリーズ、「サクリファイス」シリーズより好きかも。
本作はシリーズ3作目。
8つの短編が収められています。
どれもスッと読めてしまう、程よい長さと味わいの作品。
でも読み終えて、
「この人(たち)、この後どうなったのかな?」
と思わせてくれるところがあります。
せめて書き下ろしを一編入れて、そこら辺のフォローを…とも思わなくもないんですが、ビストロでの<束の間>でのドラマに限るあたりが、シリーズの「品の良さ」でもあるんですよね。
どの作品もいいんですが、時代性の一端を見せてくれる表題作(マカロンはマカロン)が一番好きかな。
女性の友情を描いた「タルタルステーキの罠」から「ヴィンテージワインの友情」への流れも気持ちいいです。
最新作ではどうやら、コロナ対策下の<パ・マル>を描いているようです。
「日常ミステリ」には、世界観としては浮世離れなイメージもあるものが多いんですが、ある種の気持ちの良いコミュニティ(パ・マル)を描きながら、「時代」の風もチャンと吹かせるあたり、良いですね。
次も楽しめそうだな〜。