・歴史戦と思想戦 歴史問題の読み解き方
著者:山崎雅弘
出版:集英社新書
戦前に軍部が中心となって展開した「思想戦」と、近年、産経新聞を中心に展開している「歴史戦」を比較しながら、そこに見える「類似の構造」を指摘した作品。
「歴史戦」に関して言えば、「大日本帝国」と「日本」との意図的な混同によるミスリーディングを批判するスタンスになります。
<最近の新聞などで[南京の虐殺が]議論されているのを見ますと、なんだか人数のことが問題になっているような気がします。辞典には、虐殺とはむごたらしく殺すことと書いてあります。つまり、人数は関係ありません。>三笠宮崇仁殿下
僕のスタンスは殿下に近いですね。
従って、「戦略・戦術として、事実を隠蔽したり、曲解したり、相対論に持ち込んだり」といったスタンスには感心しません。
こっちの知性を軽んじられてるような気もしますし。
個人的には「大日本帝国」よりも、「日本」に愛着がありますし、戦後の繁栄を培ってきた父母の世代(一端は僕らも)の努力をバカにするような言説には賛同できません。
もちろん「大日本帝国」に自己同一したい人がいることは理解しますし、それを否定する気はないですけどね。
以前から、
「こういうのは国内でやいのやいの言うんじゃなくて、国外(欧米)でアピールせんと」
と思ってたんですが、やってたんですな、猪口邦子議員が(2015年)。
その残念な顛末は、まあ一方的な記述なのでココで評価はしませんが、グローバル化の時代、きっちり国外でアピールすることこそ「歴史戦」においては大切でしょう。
「思想戦」の反省を踏まえても。(ここは児玉誉士夫氏が痛烈に批判してます)
従って戦術としては猪口議員のアクションは悪くないと思います。
今後、その旗振りは、是非カリフォルニア州弁護士にお願いしたい。
「主戦場」の上映差し止めなんか求めず、堂々と本国で主張を展開して欲しいものです。