・教育激変 2020年、大学入試と学習指導要綱大改革のゆくえ
著者:池上彰、佐藤優
出版:中公新書ラクレ
もともと2020年の改革には興味はあったんですよね。子供たちがモロにぶつかりますから。
併せて、最近、FBで大学の「現状」に関する意見交換なんかも意図せずやったりしたので(元の記事はコレ。
https://gendai.ismedia.jp/articles/-/65088)、
「教育現場をどう変えていくのか」ってコトを考えるキッカケにもならないかなぁ…と。
結論から言うと、どっちも「食い足りない」って感じ?w。
大学入試センターの理事長との対談は結構面白かったですけどね。
「危機感」みたいなところは共有できます。
と言うか、個人的には「今改めて言わなくても…」って気分もあり。
「新テストの評価」については「ふ〜ん」。
お二人の評価は割と高いですが、それも分かる感じ。(問題の作成や採点は大変そうだけど)
「教育現場の改革」については「物足りず」。指摘はされてますが、本書のメインの話はそっちじゃない(教育をする側じゃなくて、受ける側にたっての視点がメイン)んで、まあ仕方ないかなってのもありますが。
「総論」としては良いのかもしれませんが、もっと具体論、更には改革に向けた戦略論みたいなものを読みたかったなと思う訳です。
教育現場の危機的状況ってのは色んなことが言われてて、特に「教える側」の問題としては明らかに「人手不足」「時間不足」。
スキルや知識の足りなさは、そう言う状況が拍車をかけてるところありますからね。
で、ここら辺のことって、結局「カネ」の話、「予算」の話でしょう。
「予算」があまりにも足りず、配分があまりにも「経済原理的」過ぎる。
…そうだとも思います。
でもこの「指摘」自体は結構前から言われていることで、そろそろ「じゃあ、どうすんねん」って話が聞きたい。
「予算」の話っていうのは、「こっち増やすなら、あっちを減らす」って話です。一義的には。
「足りないんだ!それはこんなに大変なことなんだ!」
ってことが、「予算が減らされる側」にも共有されなければいけません。それは「予算」を求める側に求められるアクションです。
「お前らの勉強や理解力が足りんのや!」じゃあ、結局「酒場でクダ巻いてるサラリーマンの上司や会社への不満」と変わらんのちゃうかな、と。
<佐藤 私は、ある程度の淘汰が進むのは仕方がないというか、そうならざるをえないのではないかと思うんですよ。日本の18歳人口は1992年の205万人をピークに減少の一途をたどり、現在は120万人くらいになっている。要するに半減です。その一方、90年前後には約500校だった大学は増え続け、現在、800校近くになっている。これは異常です。冷たい言い方かもしれませんが、大学の淘汰は必要だと思います。>
この認識に対するカウンターをしっかりと打ち出し、戦略を持って対応する必要があると思うんですが。
マーケットが半分になったところに、企業が1.6倍参入してくりゃ、そりゃ企業あたりの収益は激減です。(売り上げが半分になれば収益は半分以下です)
「教育はそういう経済原理で計ってはイカン!」
然り。
教育「現場」はね。
でも「学校経営」は<経済>ですよ。<ビジネス>とまでは割り切らなくても。これを混同してるのは甘い。
個人的には、
「教育現場には経済原理を踏み込ませない」
「学校経営は高度な経営スキルで取り組んでいく」
ってことがポイントにならざるを得ないんじゃないかな〜と考えてるんですけどね。割と皆さん、「新自由主義」を蛇蝎のように嫌われますがw、現場に「予算」を回すパイをどう作っていくのかって話は、自由主義的なスタンスに背を向けたらアカンと思うんやけどねぇ。
(その後の「配分」の話としてが重要です)
僕自身は教育の現場にはいなくて、自分の子供たちが「教育」を受けている最中。
そういう中で「どういう方向に教育は向かっているのか」には興味あるし(そのためにこんな本、読んでますw)、個人の「戦略」としては進学する学校のチョイスや家庭内教育で試行錯誤をしています。
その向こうで、子供たちが「自分で自分の進路や生き方を選択できるように」ね。
それがナカナカ難しいのが、日々の悩みでもあるわけですが…w。
まあでも、「教育現場」にいる人には頑張って欲しいです。
ホンマ、大変そうやと思いますから。(小学校の先生から、大学の先生までw)
次のステップは、難しいですかね〜。