・世界の辺境とハードボイルド室町時代
著者:高野秀行、清水克行
出版:集英社文庫
ノンフィクション作家(辺境作家w)・高野秀行と日本中世史専門歴史家・清水克行による対談。
ハードカバーで出版された時、話題になってたし、秀逸な題名にも心惹かれたんですが、どちらの作品も読んだことなかったんで、逡巡しちゃったんですよね。
で、文庫化されたのを契機に購入、と。
現代世界の「辺境」と日本中世、特に「室町時代」には似たところがある!
なぜ「辺境」(例えばソマリランド)でこんな風な社会風習が出来ちゃったのかを考える上において「室町時代」のことを参考にすると分かることが結構あるし、
「室町時代」の風習や社会制度が、どんな風に具体的に動いているのかを想像する上において、「辺境」の実態を勉強すると、見えてくるもがある
…ってのがベースになっている対談。
お互い、
「自分がやってることって、結構マニアックで、他の人には解ってもらえないんじゃ…」
と薄々思ってたところが、
「意外なところに同志が!」
みたいな感じになるのが楽しいんですよね。(実際、対談後も二人の友人関係は継続しているようです)
たまたまツイッターで「二人の作品って似てる」って感想(その感想を投稿した翻訳家(柳下毅一郎)が解説を書いてますw)を見た高野氏からのアプローチで対談をするようになったようですが、一気に「同好の士」として盛り上がっていくのがいいです。
そういう意味じゃ、「一回限り」の面白さではあるかもしれませんね。
(別の意味の面白さはあるでしょうが。なんで、続編にも興味アリ、です)
僕自身はこう言うの、
「面白ぇ」
と思うし、「室町時代の混沌」なんかも、
「ワクワクする〜」
って感じなんですが、自分がそう言う立場になりたいかと言うと、
「真っ平御免」。
(椎名誠とか好きだけど、「キャンプ行こう!」にはならないと言うタイプw)
…なんで、すみません。
読んで楽しんではいますが、コレで「辺境に行こう!」と言うのにはならないんです。
「食」の方には興味あるんですけど…。
でもまあ、こういう「辺境」や「過去」から「現代」が見えてくる…ってのはワクワクします。
僕らは「時代の制約」から自由になることはできないけど、その「制約」を相対化することはできる。
こう言う本にはそういう役割があるんですよね。
その上、読んでて楽しいしw。
それぞれの主要作品も、読んでみるかな〜。
PS それはそうと、そろそろ「世界の終わりとハードボイルドワンダーランド」、電子書籍化してくれませんかね、新潮社さん。