・なぜリベラルは敗け続けるのか
著者:岡田憲治
出版:集英社インターナショナル
安倍政権に対して強い危機意識と批判を持つ作者が、その危機意識や評価が何故一般に伝わらず、野党は議席を伸ばすことができないのか、について考察し、強い反省とともに、その対応策を論じた作品。
一言で言えば、
「大人になろう」w。
内容については作者があとがきにまとめてくれています。
<私は、本書でこれまでに、政治と道徳・思想を区別して、善悪の二分法から抜け出し、己の正直さに逃げ込むことなく、「決める」ことの厳しさと、宿命としての「政治の失敗」を引き受け、他者の心を溶かし開く言葉を選び、切実な生活に関わる課題を優先することの必要性と、仲間の各々の役割を理解し区別しつつ、今日の協力と未来の夢を切り分けて、既成事実に簡単に白旗を掲げずに、粘り強く思いを鍛えて、とにかく一人でも多くの友人を増やす努力ことこそが「政治をすることなのだ」と言ってきました。>
またツイッターでもご自身で「まとめ」を発信されています。
https://togetter.com/li/1358604?fbclid=IwAR0Ig0JCcykmSoDskIgwj0cpdcvuROtlUf6B0Zj1-FhU0ujWVoKQNqUMxvE
読んで思い出したのは橋下徹氏の「政権奪取論」。
<読書録「政権奪取論」http://aso4045.hatenablog.com/entry/2018/10/07/082034>
「政策の打ち出し方」と言う点に焦点を絞ると、結構近いところを言ってるんじゃないか、と。(ツイッターの<承前10>あたり)
まあ、それ以外は…ですがw。
ここらへん、結局ご自身のまとめの<承前11>あたりがポイントですかね。
「キラキラした理想が持つパワー」を如何に翻訳できるか/耐えれるか。「翻訳」は、時には「妥協」に見えることもあるでしょうから。
僕自身は「政権奪取論」の感想にも書いた通り、こう言うスタンスにほぼ賛成ですし、これしかないんだろうなと思っています。
作者とは安倍政権の政策評価については立ち位置が違いますが、「このまま安倍一強が続けばいい」とは思ってないので、こう言う形で野党が「大人になる」ことは大歓迎です。
(「安倍政権の政策評価」については作者の評価は「民主主義の敵」「権力腐敗の見本」みたいですがw、僕は「彼には彼のビジョンがある」と考えていますし(それに賛同できるかどうかは別)、経済政策に関しては賛同もしています。
ただし公文書の偽造・廃棄はダメ。
「歴史の審判」を仰ぐことを避けるような政権は評価に値しません。その点において、安倍政権「後」を考えるべきと言うのが、僕のスタンスです)
ちなみに安倍政権が一定の評価を受ける/野党が支持拡大を思うようにできないのは、
「安倍政権が改革派で、野党は既得権益擁護派」
と見られる向きもあるからじゃないですかね。
多分、リベラル層からは「権力(安倍政権)に擦り寄るのが既得権益層」みたいな印象があるのかもしれませんが、「既得権益」を、例えば「<昭和>な思想や仕組み、人のあり方」と置き換えると、結構安倍政権はココにメスを入れています。
もちろん賛否はあるんですが(僕は経済政策は「賛」、行政運営に関しては「否」、安保に関しては「是々非々」ってとこ)、少なくとも「動かしている」。
ご本人たちは「保守」とおっしゃってますが、実際には相当な「改革勢力」だと僕は思います。
既得権益層に頭を抑えられた層(若者もそうでしょう)が彼らに期待する気持ちも分からなくはない。少なくとも、なんだか理想論ばっかりで反対して、前向き感のない野党に期待する気分にはなれんだろうなぁと思います。
(昭和を引きずってる僕は、ちょっと違う考えもありますが)
<30の1人区で野党統一候補 参院選の構図ほぼ固まる衆院選の調整着手>
https://www.nikkei.com/article/DGKKZO45419770Z20C19A5PP8000/
こう言う動きもあるので、この点を理解して、流れも出てきてるってことですかね。
ただ、
「<昭和>な既得権益にメスを入れる覚悟はあるか」
ここを僕は野党には問いたいですね。
もちろん、「守るべきものは守るべき」(所謂「保守」ってのはこう言うもんですが)ってスタンスだってありますけどね。ただ「それが何で、そのことで未来に希望は持てるのか」ってのはチャンと明示する必要があります。
空理・空論ではなく、具体的に「ゼニカネ」の面でもw。
本書のインパクトがそう言う形で「リベラル」に届くといいのになぁ、と期待しています。