・オペレーションZ
著者:真山仁
出版:新潮社(Kindle版)
一時期、「官僚たちのアベノミクス」と並行して読んでたんですが、時々混同しちゃうような時もあったりして… w。
あちらのほうはノンフィクションだし、安倍政権が継続している以上、「on the way 」は当然なんですが、なんとなく本書のラストもそんな雰囲気があります。
「シミュレーション小説」…と言うと言い過ぎかもしれませんが。
(それ自体は、多分作者の狙いでもあって、したがって作中の「小松左京」を模した小説家が書いていた啓発のための小説も「未完」となっています)
アベノミクスに対する評価って言う点では作者と僕は立ち位置が違うと思いますが、国家財政が破綻しようとするとき、「何が起きるのか」「何をすべきなのか」という点で、本書は一読の価値があると思います。
作者自身は、それでも本書には一抹の救いがあると設定しているんでしょうね。「救いがない」のは作中で未完となる「ディストピア」と言う小説のほうに描かれています。
でも、そちらのほうに現実がならないとは限らない。
作者の指摘はそこにもあるんでしょう。
小説としては、結構現実の「モデル」が類推しやすい内容になっていて、それだけに「本当のところはどうなんだろう」ってのがちょっと「雑音」にもなりました。
「小松左京」あたりはまあ罪がないんですが、財政破綻した自治体の首長のあたり、差し障りは無いんでしょうか。いや、実際のところはどうなのかは僕は全く知らないんですけどね。
何やら財務省の文章問題で政権運営がバタバタしてきていますが、本書なんかを読むと、
「そんなことやっとる場合か」
とイラッと来たりもします。
それは安倍政権に対しても、野党に対しても、メディアに対しても…です。
時計の針はとどまることはないのですが… 。