鈴麻呂日記

50代サラリーマンのつぶやき

8割方は「同感」なんですがね:読書録「政権奪取論」

・政権奪取論 強い野党の作り方

著者:橋下徹

出版:朝日新書

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「二大政党制」への移行を支持するスタンスから、自民党に対抗できる「強い野党」を如何に作るか?

維新の会の経験を踏まえ、結構具体的に書かれた一冊。


思想・理念・イデオロギーではなく、「組織」が重要

「マーケティング」で有権者の意識を掴み、「組織」として取り組んでいく

地方議員の地道な活動に根ざした堅固な組織を基盤とする

「古き良き日本」志向の自民党に対して、「自由」「開かれた社会」「新しい技術」「ルール重視」をキーワードとする「未来志向型」の野党となる


…ほぼ「賛成」w。

ツイッターのまとめなんかを読んでて、「論理的・合理的には、結構言ってることは正しいと思うんだけどな~」と常々感じてたんですが、本書を読んでその感覚を確認できた感じです。


戦略論としては多分コレしかないと思う。

申し訳ないけど、「立憲民主党」「国民民主党」「日本維新の会」とか、今のままでは期待できないんですよね(というか、今、野党の名前を書こうとして、「?」だったくらいやもん)。

まあ共産党はポジション的にあれでいいと思うんですが、この野党の存在感のなさから「牽制役」としての公明党に期待するしかない…という動きが出てくるのも仕方ないと思います。

ただ「現状」はまあそれで仕方ないとして、「未来」をどうするのか。

少子高齢・人口減少社会を迎える中、相対的に存在感を失いつつある日本を、一体どういう「国家」としていくのか…これは急務でしょう。そこを明確に「志向」し、「古き良き日本」志向の自民党と対抗させて行くってのは絶対に必要だと思います。


一方で、「維新の会」や橋下氏自身のことを考えると、「組織論」一辺倒でいいのかとも感じますがね。

橋下氏自身、コメントしている通り、政党組織においては「人間関係力」というのが極めて重要。(これはどの組織もそうですが、個人の集合という傾向が強い政党は特に)

そして「人間関係力」ってのは、その人物への「信頼」をベースに成り立つものであり、その「信頼」って結局、その個人が持つ「思想」「哲学」によるものなのではないか、と。

橋下氏はご自身で「自分には人間関係力がなく、従って政治家失格」とコメントしてますが、最後の最後で彼が次のステップに突破できなかったのは、この「信頼」を有権者との間に醸成しきれなかったからじゃないか、と僕は思っています。


「思想」「イデオロギー」の空中戦に意味はない。


全くその通りだと思うし、今の野党のあり方は全然ダメ。

でも橋下氏が打ち出すような「構図」だけで社会が本当に動いて行くのか。

この点には「懸念」を感じざるを得ない、というのが僕の感想です。


いや、ほんとに「未来志向型」の野党結集をしてほしいし、そのために橋下さんには是非とも一働きしてほしいんですけどね!


(ちなみに本書の中では「朝日新聞、毎日新聞」「インテリ、学者」さんたちは、実行力がなくて口ばかりと、なんどもこけ下ろされています。

でも本書は「朝日新聞出版」発行。

ドユコト?w)