・「空気」を読んでも従わない 生き苦しさからラクになる
著者:鴻上尚史
出版:岩波ジュニア新書
妻が新聞の広告欄で見つけて、「子供たちに読んでほしい」と購入した作品。
子供たちが手に取るにはもうちょいかかりそうなのでw、先に一読。
でもこれは良い本ですね。
たしかに子供たちが読むといいなぁと思いますし、自分にとっても思うところがありました。
内容としては、
「空気の研究」の現代版&中高向け?
いや、その「対策と実践」って感じかな?
<社会>国家と国民等、所属する個人はそれぞれが上位組織に所属し、横の関係はフラット
<世間>いわゆる「ムラ」。所属する個人の横の関係、その中での上下関係等が濃厚で、組織と個人の損得が一体化しやすく同調圧力が強い。
<空気>「世間」の強固な基盤が毀損する中で、同調圧力が前面に出ながらも、それに従うことのメリットや、その根拠が曖昧な状態
…僕なりの整理はこんな感じ。
で、作者は「<世間>が崩れている中で<空気>が個人を縛っている現状、如何にしてその束縛を緩めていくか」について語っています。
まあ、ひと言で言うと、
「<社会>的繋がりを実践する中で息をつき、相対的で多様な複数の<世間>に所属することで、<自分>を肯定的に捉えるようになる」
って感じかなぁ。
これって定年退職したサラリーマンにもよく言われることですよねw。(「会社」だけを自分の存在根拠にするんじゃなくて、「地域」「趣味」「ボランティア」等、複数の自分の居場所を作っておく…みたいな)
多分でも、そういうことなんじゃないかと思うですよね。
最終章には「スマホの使い方」みたいな章もあって、子供たちとのスマホ戦線を拡大しつつある僕にとっては参考になりました。
評価を気にしながら、「何者」にもなれない人が、絶対に否定されない言葉として、「正義の言葉」を吐き出す
…いやはや、全くその通り。
本書が「救いの書」とは思いません。
結構「世間におもねる」ことを勧めたりもしてますしね。
でも「対策」としてはそれは「リアル」でもあるでしょう。
その中から一歩ずつ進んでいくしかない…ということも。(そしてその「変化」もたしかにあると感じています。感じたいだけかもしれないけど)
「ああそうか。時田秀美くんが闘ってたのも、こういうもんだよな」
なんて思ったりもしてw。
さて、子供たちは読んでくれるかな。コレ。