鈴麻呂日記

50代サラリーマンのつぶやき

渋いわ〜:映画評「判決、ふたつの希望」

公開された時にちょっと気になってたんですよね。

映画館には行けませんでしたが、iTunesでレンタルして視聴。

 

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「判決、ふたつの希望」


なんか、安易に感想を語れるようなストーリーではないと言うか…。

雑に言えば、

 

「レバノンの首都ベイルートで暮らすレバノン人とパレスチア難民の些細な喧嘩が、やがて裁判に至り、その中で国を分断する勢力の争いに広がって行くのだが、最終的には二人の個人的な和解に至る」

 

ってストーリー。

ただパレスチナ難民の苦難の歴史だけではなく、レバノン内戦の中での語られない悲劇までもが原告(レバノン人)にも影を落としていることが明かされ、中東の歴史の複雑さとやるせなさが浮き彫りになると言う…。


主人公二人の演技は絶妙。

抑えた演技のパレスチナ人もいいんだけど、当初、粗野なだけかと思ってたレバノン人の方も心情の変化を繊細に演じていて、素晴らしい。

ラストの表情とかもなぁ。

原告側弁護人のラストの陳述のあたり、それまでのエゲツない法廷戦術に比べて

「おいおい、何、いい感じにまとめてんねん」

って突っ込みたくもなりましたが、いやぁ、でも良い映画ですわ、コレ。

きっちりエンタメにもなってますしねぇ。(全然退屈しませんでした)


とはいえ、中東情勢は未だ混沌としており、レバノンもまた…。

個人としての和解はなっても、国家としての分断には…ってあたりは、リアルが影を落としています。

それでもこう言う風に語られる物語があることで、何かが変わって行くかもしれない。

フィクションの力ってのは、そこかな、そうあって欲しい、などとも感じたりしました。