鈴麻呂日記

50代サラリーマンのつぶやき

神なき時代の「正義」:読書録「正義とは何か」

・正義とは何か  現代政治哲学の6つの視点

著者:神島裕子

出版:中公新書

f:id:aso4045:20181215102006j:image


この書評を読んで、「面白そう」と思って購入したんですがね。


<正義とはイデオロギーかと問うてみる『正義とは何か』>

http://app.m-cocolog.jp/t/typecast/16274/18285/90351648


「ですます」で平易な口調で分かりやすく…

と読めたのは序章くらいまで。

ロールズの「正義論」の解説に入ると、いやぁアタマが追いつかない、追いつかないw。


本書はロールズの「正義論」を現代正義論の起点として、

「リベラリズム」(ロールズはコレ)

「リバタリアニズム」

「コミュニタリアニズム」

「フェミニズム」

「コスモポリタニズム」

「ナショナリズム」

の6つの流れを、時代背景も絡めながら論じています。

その「起点」のロールズのトコロでコケちゃったんで、とてもじゃないが、「読み込めた」「理解できた」とは言えない結論w。

「そういや昔、ロールズを読もうと思って、あまりの分厚さに撤退したなぁ…」

などと、過去の苦い思い出なんかも…。

(しかし1キロ超えてますぜ、この本。

f:id:aso4045:20181215102028j:image

正義論 https://www.amazon.co.jp/dp/4314010746/ref=cm_sw_r_cp_api_FbffCbMRNQC5M)


ロールズの論は非常に精緻で論理的なんですが、コレは「神」という存在を抜きにして、「正義」という概念に「普遍性」を付与しようとしたからじゃないですかね。

修身的に「自分にとっての正義は」ってことを考えるだけならともかく、「他人の行動を<正義>というモノサシで評価し、行動を変えさせる」ためには、互いが了解できる土台(=普遍性)が必要ですから。


ただ「神ならぬ身」に絶対的普遍性を解き明かせるはずもなく、時代の変遷や状況の変化とともに、考慮すべき人々や状況、社会通念や経済環境は変わってきて、それに合わせて「正義論」を支える「普遍性」も変遷してきた。

…この6つの「正義論」を「相対的普遍性」の変遷として捉える、と言うのが僕の「読み方です。

それ以上踏み込むのは、ちょっと…w。


「そんなん出来るわけないやろ!<正義>の基準は人によって変わらざるを得んし、だからこそそんなのを振り回したらあかんのや!」


ごもっとも。

個人的見解はそうです。


ただ現実主義者としてはそこで「思考停止」するのではなく、そこから「じゃあ、どうしたらいいのか」を考えなきゃいけない。

絶対的な普遍性を勝ち取ることの不可能性を理解しつつ、現実主義者として「今」通用し、「より良き未来」に一歩でも近づけるような「普遍性」を「正義」にもたらす。

…その苦闘が「正義論」の歴史なんじゃないかな、と。

終章で難民問題に言及してるのは、その作者の姿勢ゆえではないかと思います。

(政治共同体に生きる哲学者であっても「普遍性」を諦める必要がないと言うのが「現代政治論」の歩みではないか…と言うコメントもあります)


…とか偉そうなこと言っといて、実はよー分からんかったって実際もあるんですがw。

この距離感(哲学的学論と市井の一般人の感覚)も問題かも…ってのは知的努力を放棄した怠けモンの言い訳かしらん?w