・正義とは何か 現代政治哲学の6つの視点
著者:神島裕子
出版:中公新書
この書評を読んで、「面白そう」と思って購入したんですがね。
<正義とはイデオロギーかと問うてみる『正義とは何か』>
http://app.m-cocolog.jp/t/typecast/16274/18285/90351648
「ですます」で平易な口調で分かりやすく…
と読めたのは序章くらいまで。
ロールズの「正義論」の解説に入ると、いやぁアタマが追いつかない、追いつかないw。
本書はロールズの「正義論」を現代正義論の起点として、
「リベラリズム」(ロールズはコレ)
「リバタリアニズム」
「コミュニタリアニズム」
「フェミニズム」
「コスモポリタニズム」
「ナショナリズム」
の6つの流れを、時代背景も絡めながら論じています。
その「起点」のロールズのトコロでコケちゃったんで、とてもじゃないが、「読み込めた」「理解できた」とは言えない結論w。
「そういや昔、ロールズを読もうと思って、あまりの分厚さに撤退したなぁ…」
などと、過去の苦い思い出なんかも…。
(しかし1キロ超えてますぜ、この本。
正義論 https://www.amazon.co.jp/dp/4314010746/ref=cm_sw_r_cp_api_FbffCbMRNQC5M)
ロールズの論は非常に精緻で論理的なんですが、コレは「神」という存在を抜きにして、「正義」という概念に「普遍性」を付与しようとしたからじゃないですかね。
修身的に「自分にとっての正義は」ってことを考えるだけならともかく、「他人の行動を<正義>というモノサシで評価し、行動を変えさせる」ためには、互いが了解できる土台(=普遍性)が必要ですから。
ただ「神ならぬ身」に絶対的普遍性を解き明かせるはずもなく、時代の変遷や状況の変化とともに、考慮すべき人々や状況、社会通念や経済環境は変わってきて、それに合わせて「正義論」を支える「普遍性」も変遷してきた。
…この6つの「正義論」を「相対的普遍性」の変遷として捉える、と言うのが僕の「読み方です。
それ以上踏み込むのは、ちょっと…w。
「そんなん出来るわけないやろ!<正義>の基準は人によって変わらざるを得んし、だからこそそんなのを振り回したらあかんのや!」
ごもっとも。
個人的見解はそうです。
ただ現実主義者としてはそこで「思考停止」するのではなく、そこから「じゃあ、どうしたらいいのか」を考えなきゃいけない。
絶対的な普遍性を勝ち取ることの不可能性を理解しつつ、現実主義者として「今」通用し、「より良き未来」に一歩でも近づけるような「普遍性」を「正義」にもたらす。
…その苦闘が「正義論」の歴史なんじゃないかな、と。
終章で難民問題に言及してるのは、その作者の姿勢ゆえではないかと思います。
(政治共同体に生きる哲学者であっても「普遍性」を諦める必要がないと言うのが「現代政治論」の歩みではないか…と言うコメントもあります)
…とか偉そうなこと言っといて、実はよー分からんかったって実際もあるんですがw。
この距離感(哲学的学論と市井の一般人の感覚)も問題かも…ってのは知的努力を放棄した怠けモンの言い訳かしらん?w