・ラブラバ
著者:エルモア・レナード 訳:田口俊樹
出版:ハヤカワ・ミステリ
村上春樹がエルモア・レナードの初期の西部小説を翻訳すると言う話を聞いて、
「そういえば、レナードの新訳をちょっと前に買ってたな」
と思い出して、取り出して読みました。
昔、旧訳も読んだことあると思うんですが、ストーリーは全然覚えていません。読み終えても、新鮮な気持ちw。
まぁ、レナードはそんなもんですよね。ストーリーよりもキャラクターやシーンで読ませる作家ですから。
それにしても、出てくる登場人物登場人物、よくしゃべること。
タランティーノの映画を思い出します。
もちろんこれは逆で、レナードの方がタランティーノより先なんですけどね。
エキセントリックなキャラクターの作り方とか、エルモア・レナードがアメリカのエンターテイメントに大きな影響を及ぼしたことを改めて気づかされます。
ストーリーの骨格そのものは作品の中で簡潔にまとめられています。
<若くて魅力的な女が彼女に夢中のリッチなプレイボーイから、好きなものをなんでも言ってくれと申し出られる。(中略)しかし、その若い女はその申し出を突っぱねる。そんな楽な方法で手に入れてもどんな満足感もえられないから。(中略)若い女はそのプレイボーイを騙して、大金をせしめ、そのことに満足する。なぜならそれは彼女が自分で成し遂げたことだったからだ。>
「若くて魅力的な女」は50歳オーバーになっちゃってるんですけど。
しかしまぁ、なんでそんなめんどくさい事を…。
いやいや、それを言っちゃいけません。ストーリーやキャラクターの「リアルさ」を楽しむのがエルモア・レナードではありませんから。
久しぶりにレナード作品を読んで、「ちょっとスピード感は落ちたかなぁ」と思いましたが、十分に楽しませてもらいました。
(スピード感が落ちたように感じるのは、時代の差ではあるでしょう。なんだかんだ言って、30年以上昔の小説ですからね)
さて、村上春樹が訳した西部小説(「オンブレ」)のほうはどうしようかな。
とりあえず購入して手元にはあるんですが、まだチャンドラーの「水底の女」も読んでないからなぁ。