鈴麻呂日記

50代サラリーマンのつぶやき

ブラッド・ピットは最高のバディ:映画評「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド」

「キル・ビル」以降のタランティーノ作品は、なんとなくビデオ視聴になってたんですが(長いからなぁw)、久しぶりに公開で観ました。

60年代末のハリウッド

…って題材が気になりまして。

 

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Once Upon a Time in...Hollywood

 

なんとなく「シャロン・テート殺人事件を描く」みたいな感じになってますが、(間違いじゃないけど)基本的には<1969年>のハリウッドのスナップ写真…みたいな感じかな。

デカプリオ演じる主人公の<再生の物語>みたいなストーリーもあるんですが、全編を通じるようなストーリーラインはあまりありません。

 

<最初はお話を作ろうとしたんだよ。エルモア・レナードの「ゲット・ショーティ」みたいな。でも、ストーリーなんていらないや、と思ったんだ。それより、彼らには普通のハリウッドの日常を過ごしてほしいと。>(タランティーノ談。パンフより)

 

「物語」を期待すると、肩透かしを食うけど、

「パルプ・フィクションみたいなもんか」

と思うと、楽しめるんじゃないか、と。

虚実交えてたくさんの登場人物が登場するんだけど、どのキャラも活き活きしてて、惹きつけられます。

 

で、デカプリオとブラッド・ピット。

悔しいけど、ええ感じ。

 

虚勢を張りつつ、「俳優」としての自負と、誠実さと、弱さを持つデカプリオ演じる「リック・ダルトン」

心の中に虚無と闇を抱えながらも、リックとブランディ(犬w)という<相棒>と日々を生きるブラピ演じる「クリフ・ブース」

 

ブラッド・ピットは「オーシャンズ」シリーズで、ジョージ・クルーニーと相棒を好演してますが、本作のバディっぷりも良い感じです。

誠実なんだけど、どこか危うさがあって、そこを相棒の存在が支えている。

そんな感じかなぁ。

 

この二人だから、ハッピーエンドの向こうにも日々は続いてほしい。

それは「フィクション」でしかありえないことなんだけど。

 

どこか切なさを感じさせる「ハッピーエンド」に、そんなことを思ったりもしました。

それは「ありえたかもしれない」けど、「訪れなかった」日々ですが…。

(そして「クエンティン・タランティーノ」という存在は、断ち切られた日々の「後」に生まれたモノによって形作られた存在でもあるんですよね。

だからこそ「Once Upon a Time」…)

 

マンソン事件のインパクトを実感できないので、本作の魅力や意義を十分に受け取れたとは思いません。

それでも十分、僕は楽しめました。

日本でヒットするかどうかは、なんとも言えないけど。

 

PS  ちょっと騒動になってる「ブルース・リー」の件。

日本を始め、アジア映画やマイノリティにも理解の深いタランティーノだけに、ちょっと残念な気はします。

ただまあ、ブルース・リーにこうい面はあったとは思いますがね。