鈴麻呂日記

50代サラリーマンのつぶやき

「非の打ち所がない」。それが欠点?w:映画評「ズートピア」

「たまむすび」での町山智浩氏の評に続いて、「ウィークエンドシャッフル」での宇多丸氏の「激賛」評をPodcastで聴いて、我慢しきれずに、夕方、思い立って観に行っちゃいました。
レンタルにするつもりだったんですけどねぇ。



「ズートピア」


肉食獣・草食獣が共存する「ズートピア」。
明らかに移民によって成立し、人種の坩堝である「アメリカ合衆国」のことですね。ま、これを「進化によって」とするあたりが、本作での「?」ポイントでしょうか。でもそれくらい。
ホント、ツッコミどころのない、「出来た」映画です。
「ポリチィカルコレクト」を押さえながら、その「限界」もしっかり意識して、時に逸脱してみせるあたりも、実によく考えられています。
「人種」だけじゃなくて、「性差」や「嗜好」なんかによる「区別」「差別」にもチャンと目配されてますしねぇ。


製作にはかなり時間がかかってるはずですから、「トランプ旋風」を意識していたとは思えません。
しかしトランプが戦略として打ち出している「区別」からの「差別意識」(あるいは「無関心」や「無理解」)や、「区分」することによる「敵」「味方」の線引き(そこからの激しい「敵」への攻撃)なんかは、本作の「現実」への批判力を想起させます。
「ティーパーティー」にもあった傾向ですから、そこら辺を製作者は懸念してテーマとして組み入れたのかもしれません。
その切実感が増してしまているのは、「残念」と言うしかありませんが。


まあテーマ性はおいといたとしても、とにかく良くできた作品です。
バディものとしても、ミステリーとしても、サスペンスとしても、アクションものとしても、高い水準をクリアしています。
その逸脱感のなさ、まとまりの良さが、作品としての「大きさ」を感じさせないってのはありますが、そんなの「世紀の傑作」にしか求められないものw。
間違いなく、ディズニー/ピクサー作品として最高水準の一作だと思います。


(とにかく脚本が何より良くできてますよ。共同作業での練り上げによってこそ出来る水準なんでしょうか。
「作家性」?
でもこういうのを見せられると、「逃げ」に聞こえちゃいますからね、そういう言い草が)


ちょっと気になるのは、劇場が空いてたことかな?
「アナ雪」には敵わないにしても、どの程度の興行成績になってるのか、ちょっと気になります。こういうのはシッカリ評価して、多くの人に見られるようにならないとね。
金沢だけのことならいいんですが…。