鈴麻呂日記

50代サラリーマンのつぶやき

日本の「メイカーズ」の現状:読書録「メイカーズ進化論」

・メイカーズ進化論 本当の勝者はIoTで決まる
著者:小笠原治
出版:NHK出版新書(kindle版)

メイカーズ進化論 本当の勝者はIoTで決まる (NHK出版新書)

メイカーズ進化論 本当の勝者はIoTで決まる (NHK出版新書)


クリス・アンダーソンの「MAKERS」を読んだとき、
「なるほど面白い。でもこういうのってDIYカルチャーがあるアメリカじゃよくわかるんだけど、日本じゃどうかな?」
と思いました。
本書はある意味、それに応えてくれる作品。「DMM.make AKIBA」をプロデュースして、ある意味日本の「メイカーズ」を牽引している人物による「最前線」の紹介書です。


ただ本書が「ありがたい」のは、具体例紹介に並行して「メイカーズ」の解説もしてくれているところです。


ネットの活用によって「クラウドファンディング」や「グローバルニッチ」という新しいマーケットが創出され、「作品」が「売れる」環境が整備されてきたこと。
「モジュール化」の進展により、「ものづくり」が「セットアップ」に重点が移りつつあり(その典型がアップル)、「作れる」バーが急速に下がっていること。
そして「モノ」を「コト」に接続することで(これが「IoT」)「モノゴト」をビジネスモデル化できる「稼ぐ」世界が生まれつつあること。


「セットアップ」が製造業を変えてきている姿なんかは、漠然とはわかってたんですが、「なるほど〜」って感じですね。
自動車産業はどうしても「すり合わせ」が必要なため、「セットアップ」では片付かないから、まだ日本は存在感を発揮できているけど、電気自動車はその「すり合わせ」のエリアをグッと狭める可能性があるとか。
(MRJが試験飛行を成功させましたが、「航空機産業」っていうのは、そういう意味ではまだ「すり合わせ」が必要なエリアが広い産業かもしれません)


「具体例」の中にはまだ「形」になってないものや、市場に出てないものも多く、それだけにそこにある「リスク」なんかも見える内容になっています。
これも本書の評価できるところだと思いますね。
「なんだ、成功してないじゃん」
そうも言えるんですが、「成功例」だけを並べてたら、結局「遅くなる」ってのが今のビジネスの現状でしょう。
「失敗」の可能性も踏まえつつ、そこから「次」の可能性を考えるっていうのが必要なんじゃないですかね。


しかしまあ、個人的には「ついて行けなくなりつつあるなぁ」ってのも正直な感想ですなw。
「モノゴト」化され、ネットで広くつながった世界ってのは「可能性」があって面白そうですが、どんどん理解できない世界になっていくような・・・。
で、こういう感覚から「抵抗勢力」になるんでしょう。
「老害」にならんように、気をつけよw。