・0ベース思考 どんな難問もシンプルに解決できる
著者:スティーヴン・レヴィット、スティーヴン・ダブナー 訳:櫻井祐子
出版:ダイヤモンド社
- 作者: スティーヴン・レヴィット,スティーヴン・ダブナー,櫻井祐子
- 出版社/メーカー: ダイヤモンド社
- 発売日: 2015/02/14
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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「ヤバい経済学」「超ヤバい経済学」の著者二人の新作。
前二作が「インセンティブ」をキーにして経済的視点から社会的な事象(大相撲の八百長やら、犯罪減少と中絶の関係やら)を論考する、具体的事例に沿った作品だったのに対して、本書はそのベースとなる「考え方」や「スタンス」について書かれています。
ま、ある意味「自己啓発本」?w
でも前二作が、時には物議を醸し出すようなヒネた内容(ただし骨子は極めて合理的)だったのに対して、割と素直に読める気がしますね。
(例えば、「聞く耳をもたない人を説得するには?」では
「1 主役は自分じゃなくて相手」「2 自分の主張が完璧だというふりをしない」「3 相手の主張のよい点を認める」「4 罵詈雑言は胸にしまっておく」「5 物語を語る」
ってポイントを上げてるけど、マトモですよね、これ)
ユーモアタップリな書きっぷりは相変わらずで、楽しいです。
<どんな問題についても言えることだが、自分の道徳のコンパスに照らして効果がありそうなインセンティブを探すことにとらわれず、本当に効果があるインセンティブをつきとめることが大切だ。重要なのは模範的な人間の理想的な行動より、生身の人間が現実にどう行動するかを考えることだ。>
作者は一貫して「道徳」や「正義」に基づく「解釈」や「判断」に対してシニカルですが、こういう視点は重要だと思うんですよね。「道徳」「正義」を振りかざす人は、得てして声が大きくて、嫌気がさしたりもしますが。
<ここまで見てきたように、どんな問題も一発で解決できる魔法のやり方なんかない。この本の趣旨は、ちょっとちがうやり方で、もうちょっと真剣に、もうちょっと自由に考えようってことだった。ぜひ実践してみてほしい>
そういう前向きな気持ちには慣れる本です。
ま、前二作を読んでもそんな気分にはなるんですがw。
正直言えば前二作のほうが出来はいいし、内容も詰まってると思います。
でも「入門」と考えたら、結構本書は敷居が低いかもしれません。(少なくともホットドッグの早食いのコツは知ることが出来ますw)
面白いと思った方は、是非前作も。