鈴麻呂日記

50代サラリーマンのつぶやき

読書録「漱石先生ぞな、もし」

・漱石先生ぞな、もし
著者:半藤一利
出版:文春文庫



宮崎駿氏との対談の中で宮崎氏が「一番好きな半藤作品」として取り上げてたので、「そういや読んでなかったかな?」と購入した作品。
買ったのはだいぶ前なんだけど、ボツボツと読んで、一ヶ月以上かけて読了しました。
そういう読み方があう作品なんじゃないか、と(単なる「言い訳」ともとれるけどw)



でも漱石ってのは何だか「風情」のあるキャラクターですな。
それでいて「近代」という切り口で見ると、未だにそこに切迫感と焦燥感が垣間見えて、現代「日本人」の原型が窺えるとともに、鋭い「批判像」もそこに結実するという・・・。
ここら辺は「「坊ちゃん」の時代」が鮮烈に描き出していたけど、本書にも重なるところがある。
本人の複雑なキャラクターが興味深いとともに、そこに時代性が重ね合わされるという、まあ希有な作家です。
森鴎外もそういうところはあるんだけど、如何せん、作品が今となっては読みづらいという・・・w。
これまた興味深いキャラだと思うんだけどね。(そこら辺は「「坊ちゃん」の時代」の何部かで取り上げられてもいたか)



漱石山房の話なんぞは、映像化すると面白いんじゃないかと思うけど(「坂の上の雲」のスタッフなんぞは如何でしょうか?)、漱石が持っていた思想の大きさがそれを邪魔するのかもしれない。
あれやこれやの騒動やらエピソードは面白く描けても、その向こうにある大きな山脈がないと、単なる喧噪にしかならないと言うか・・・。
「「坊ちゃん」の時代」あたりを原作に映像化・・・も中々難しいかねぇw。



なんてことをあれやこれや考えたりもしたけど、まあベッドやソファでポツポツと一章ずつ読んだりするのは、それなりに楽しく豊かな時間だったように思います。
続編もありますな。
さて、どうしますかね。