鈴麻呂日記

50代サラリーマンのつぶやき

読書録「ポーターの『競争の戦略』を使いこなすための23問」

・ポーターの『競争の戦略』を使いこなすための23問 どうすれば差別化を機能させられるのか?
著者:牧田幸裕
出版:東洋経済



「競争の戦略」を核としながら、「セグメントマーケティング」や「ブルーオーシャン戦略」なんかを絡ませてビジネス戦略について実践的に論じている作品。



一つ一つの論については、どこかで聞いたことがあるよう内容なっているんだけど、全体的にこう言う形で位置づけを論じてくれると理解しやすくなっているという感じがする。
「競争の戦略」をまともに読んだことがない僕には大変役に立ちました。
それでいいのかってのはあるけど。



これらの戦略の最大のポイントはターゲティングにあると思うけど、確かにコレはなかなか難しい。
一方で関連会社や代理店などの小振りな組織においてはこういう考え方が役に立つと思う。
スピード感を持ったトライ&エラー。
現代におけるビジネス戦略の基本はここにあるというのは間違いないんだろうね。
効果的にそれを活用できる組織というのは自ずと規模感の問題はあるんじゃないかと。
もちろん、大組織においてそれを効果的に行うことに戦略の妙があるってのも確かだけどさ。



正直言うと僕自身はビジネス戦略論っていうのはあまり好きではない。
あまりにも整合性の取れた体系っていうのは現実には対応しきれんのじゃないかと言う気持ちがずっとあるからだ。



その一方で個々の局面における判断においてはこういう考え方は役に立つとも考えている。
合理性を無視した根性論は、継続性に欠けるってのもあるしね。
(そう言う意味では本書の終盤の論は、
「確かにそうだけど、これを言っちゃあ」
って気分もあった。
まあココは未来の戦略担当者への「エール」でもあるからってのも分かるけど)



実は個人的には、
「戦略ってのは、その体系の合理性や妥当性より、『貫徹する』ってことにポイントがあるのかも」
と最近思っている。
そのためには「思い」や「憑依」と言った、意思面での補強が必要…ってのが最近のビジネス戦略論にも窺えるんだよな。それは本書も同様。



「それは戦略論としてどうよ」
と思いつつ、現実論としては確かに重要なのかも。
ビジネス戦略ってのは、論の整合性より成果が問われる分野だからね。
コレはいい傾向なのかもしれない。



合理性と現実論/精神論とのせめぎ合い。
このバランスってのは、ビジネス現場における「永遠の課題」なのかも。
本書もまた、その課題を解き明かす過程の道程の一つになるわけだ。



本書はそう言ったビジネス戦略のあれこれを考える上で補助線となってくれる作品。
使えるかどうかは、読み手次第でしょうがw。