鈴麻呂日記

50代サラリーマンのつぶやき

読書録「明日のコミュニケーション」

・明日のコミュニケーション 「関与する生活者」に愛される方法
著者:佐藤尚之
出版:アスキー新書



「明日の広告」の作者の新作。
この「さとなお」さんのブログは数年前から読んでて(しかもほぼ毎日更新される)、何だか「愛読者」って気分があるんだけど、実際に読んだ本は、「広告」とコレだけなんだよねw。
何だか変な気分ではある。



作品としては「ソーシャルメディアを使った広告のあり方」ってトコ。
前作が企業と顧客のあり方が変化する中での広告を論じてたのを(多分。記憶ベースなので…)、本作では「ソーシャルメディア」を切り口に、よりアップデートしている。
内容的には少し前に読んだ「ソーシャルメディア進化論」の企業コミュニティに近い印象があるかなぁ。
SIPS理論の方がリーチは長いとは思うけど、 エバンジェリスト、ロイヤルカスタマーを育てると言う視点ではかなり重なりがあるだろう。



とは言え、僕自身は「広告」とは直接絡む仕事はしてないからね。
その面での実際的なところより、「ソーシャルメディア」論として興味深く本書を読ませてもらった。



09年下期から10年初 鳩山由紀夫を巡る動き(官邸がTwitterを使う動きになった)なんか、
「あったなー」
って気分。
あの時は政治の中心につながる感動を覚えたモノだし、その後の経緯の中での苛立ちと失望もハッキリ覚えている。
まあ一貫して僕は傍観者でしかなかったんだけどw、そう言うトコがソーシャルメディアにはあるんだよねぇ。


あれがまだ2年足らず前の話。
でもずいぶん昔のコトのようだ。
政治の世界で色々あって、震災もあってってコトもあるんだけど、ソーシャルメディアの世界も大きな変化があった。
その特徴的なのが「ジャスミン革命」だろう。
政治の中核と我々が繋がる。
我々の声を政治に届ける。
そんな視点から、
「我々が社会を変える」
そう言う見方が急速に出て来たんじゃないかと思う。
オキュパイド・ウォールストリートなんかもその延長線だろう。
SIPS理論の「共感」「確認」「参加」「共有&拡散」ってのは、こう言う動きにこそ活きて来るような気がするんだよね。


そう言う意味では日本におけるソーシャルメディアの社会変革においてポイントとなるのは、マスメディアのあり方かな?
社会変革を動かす上においては、ネット利用者がまだ限られる日本の場合、如何にソーシャルメディアに日常的に接してない層へ「共有」を「拡散」するかが問われる。
そこで最も有効なツールとなるのは作者も指摘してるように「マスメディア」になるからね。


まあでも日本の場合、この「マスメディア」にも問題・課題があるからなぁ。
鳩山由紀夫政権のソーシャルメディア戦略が思う様に拡散しなかった原因はここら辺にあると個人的には思ってるんだけど、どんなもんでしょう?


そこいらの経緯こそ「さとなお」さんには語って欲しいんですがね。
まだもうちょっと難しいかなぁ。



何にせよ、ソーシャルメディアの実践者としても前線に立つ作者の理論書。
ネットやソーシャルメディアに関心のある人は避けて通れませんよ、これは。
(それに応えるだけの内容もあります)