鈴麻呂日記

50代サラリーマンのつぶやき

読書録「ウェブで政治を動かす!」

・ウェブで政治を動かす!
著者:津田大介
出版:朝日新書(Kindle版)



「こう言うリアリズムに裏付けされた政治へのネット活用の本が出るようになったのかぁ」
ってのが正直な最初の感想。
民主党政権が誕生した時、鳩山元首相がツイッターを使い始め、あの時は「政治がネットを使って変わって行く」と言う感覚を覚えたものだ。
アメリカのオバマ政権誕生の際のネット活用の情報も入ってきて、ネットの活用によって、「政治が身近になる」ってことが絵空事じゃないように感じられた。



…あれから3年。
すっかり民主党への期待は薄れ、ネット選挙への具体的な動きは遅々として見えず、政治との距離感は再び大きくなったような想いがある。
ネット界隈の「言論空間」の粗雑さに対する嫌悪感も徐々に強まってるんじゃないかね。
3.11でマスメディアに対する相対的な視点が強くなったこともあって、何だか全般的に無力感が蔓延してるような気がするのは、僕の個人的な感覚でしかないんだろうか?



そうした中で、津田氏は、民主党政権発足時の楽観的なヴィジョンを修正しつつ、それでいて確かに前進していることがあるんだということを知らせてくれる。
ネット世論が主流になる日が近いなどと安易なことを言うのはなく、むしろそこに偏りがあることを正面から認めつつ、それでも「ツール」としてネットを活用することが「政策」主体の「政治」への転換をもたらす力となり得ること。
津田氏の「主張」は、自分自身の「行動」に裏打ちされ、確かな「リアリズム」を持っていると思うよ。
「一般意志2.0」のような、思想面からのネット政治のあり方へのアプローチを踏まえ、具体的な現実への影響力を見据えた取り組みを、津田氏はしてるんじゃないかと僕自身は感じてるんだけどね。
ちょっと能天気な気もしなくもないけどw。



まあでも本書で指摘されているように、ココで取り上げられるツール(Twitter、Facebook、iPhone etc)の大半は2007年以降に広がったものなんだよなぁ。
それらの若い「ツール」が、この短期間に成し遂げたこと。
むしろ驚くべきはそこなのかもしれない。
そのパワーを考えたら、まだまだ期待しても…って言うのが今の僕のスタンス。
現実の政治のゴタゴタを見てると、やっぱり無力感が頭をもたげてきたりもするけどねw。



今回の選挙では残念ながらネット選挙は実現しなかった。
しかし確実に時代はそちらに動いている。
その方向性を考え、そこで「何ができるのか」を考える上で、本書は貴重な視点を与えてくれると思うよ。
地味っちゃあ地味ではあるけどw。



次の政権がどういうスタンスを持つかは、わかんないけどねぇ。