鈴麻呂日記

50代サラリーマンのつぶやき

「運命の出会い」(ソウルメイト)だからと言って、メンテしなくていいわけじゃない:映画評「ラブ・アゲイン」

ジェーン・スー/高橋芳朗コンビの「ラブコメ映画」紹介本に触発されて視聴(prime video)。

「どれ観ようかな〜」

と思ってたんですが、「男性の成長譚」でもあるとの指摘からこちらを選んでみました。

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高校時代に結婚して25年を共に過ごした主人公夫婦(スティーヴ・カレル、ジュリアン・ムーア)。

妻が突然「浮気」を告白し、「離婚」を切り出す。

家を出た夫は、バーで出会った遊び人(ライアン・ゴズリング)に「男」としてのレベルアップの術を教えられ…

 


まあ、「マイ・フェア・レディ」の逆バージョンですね。

この「変身」シークエンス、なかなか参考にもなるのですが、ストーリーとしてはこの「変身」によって「妻が見直す」なんて展開にはならないところが、価値観がアップデートされたラブコメ映画です。

結局、主人公夫婦の危機というのは、夫が妻にも自分にも向き合っておらず、ちゃんとしたメンテをしていなかったことに原因があるんですよね(その点は最初から明示されています)。

ライアン・ゴズリングによって「自分」のメンテをした夫は、妻と向き合い、自分達の関係をしっかりと見直すことで、立ち直ることができる…という流れ。

もともと「好き合ってる」二人ではあるので。

 


(妻の浮気相手は「ケヴィン・ベーコン」。結構「いい人」です。映画的には「ケヴィン・ベーコンの無駄遣い」w)

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ライアン・ゴズリングの「教え」で変身するスティーヴ・カレルが見どころの一つでもあるんですが(「内面」の成長が「外見」にも反映していく流れもあります)、スニーカー(ニューバランス)を捨てさせ、GAPのジーンズに見切りをつけさせる等のシーンは最高w。

…なんですが、ファストファッション・ユーザーの僕としては複雑なところも…。

 


コンバース、やめんとアカンかなぁw。

 

 

 

#映画感想文

#ラブアゲイン

#スティーヴ_カレル

#ライアン_ゴズリング

 

思ってたより、観てないな:読書録「新しい出会いなんて期待できないんだから、誰かの恋観てリハビリするしかない」

・新しい出会いなんて期待できないんだから、誰かの恋観てリハビリするしかない

著者:ジェーン・スー、高橋芳朗

出版:ポプラ社

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15/34。

取り上げられてる作品34作品中、15作品しか観てなかったです。

ミーハーを自認してるんで、ラブコメは結構見てるつもりだったんですが、半分も見てないとは。

ちょっと意外でした。

 


まあ、割と新しめの作品が多いってのはありますかね。

連載がスタートしたのが2017年10月。

「プリティ・ウーマン」とか、「恋人たちの予感」とか、「王道」作品も取り上げられてますが、時代背景もあって、比較的価値観のアップデートされた近作が多めに取り上げられてる印象。(2000年代以降。メインは10年代かな)

そこらへんになるとラブコメも「大ヒット」は少なくなるんで、ミーハーセンサーにも引っ掛かってなかった…ってとこでしょうか。

 


<ジェーン・スーと高橋芳朗が独断と偏見で決めた!

ラブコメ映画 4つの条件


1  気恥ずかしいまでのまっすぐなメッセージがある

2  それをコミカルかつロマンティックに伝える術を持つ

3  適度なご都合主義に沿って物語が進む

4  「明日もがんばろう」と思える前向きな気持ちになる>

 


この視点から、

この条件をどこまで満たしているか、この条件の中で時代を反映したメッセージをどう盛り込んでいるか、条件を踏まえながらどうチャレンジしていくのか、アップデートした価値観を条件の中でどう提示していくのか

…等々がアレコレ語られています。

 


まあ、どうしてもメインの価値観は「フェミニズム」との距離感で論じられるところがあるかな?

「プリティ・ウーマン」はケチョンケチョンw。

まあ、これは当時でさえ言われてたことではありますが。(脚本を読んだリチャード・ギアが適切に評価してたのはさすが)

意外だったのはスーさんが「ブリジット・ジョーンズ」に全面降伏wしてることかな?

ブリジットの価値観って、ちょっとどうかと個人的には思ってるんですけど。

 


色々紹介されてる作品を見て、

「う〜ん、観てみたいな」

と思ったのが何本か(何本もw)。

その中には「プラダを着た悪魔」のように、「なんで観てないねん」ってのもあるんですけどねw。

 


というわけで、やっぱり「時間をどう作るか」って問題に戻ってくるわけです。

やれやれ。

 


#映画感想文

#新しい出会いなんて期待できないんだから誰かの恋観てリハビリするしかない

#愛と教養のラブコメ映画講座

#ジェーンスー

#高橋芳朗

「新しい資本主義」?w:読書録「アダム・スミスの夕食を作ったのは誰か?」

・アダム・スミスの夕食を作ったのは誰か? これからの経済と女性の話

著者:カトリーン・マルサル 訳:高橋璃子

出版:河出書房新社

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08年の金融危機を踏まえて12年に出版された作品。

翻訳は10年近く経って…なんですが、コロナ禍によって中身はビビットに伝わってくるものになってます。

まあ、10年間、特に進歩もなかったってことでもあるのかもしれませんが。

 

 

 

いわゆる「フェミニスト経済学」の視点から書かれた本で、

 


・経済学における「家事」の位置付けや、

・ジェンダーから見た家事を含めた「ケア・ワーク」の分担の在り方

 


なんて切り口は「フェミニズム」的なアプローチになるかも。

でも、そこで議論が止まるんじゃなくて、

 


・「格差」を産む新自由主義批判

・経済学が前提とする「経済人」の問題

 


あたりに課題認識を広げ、新自由主義や合理的・生産的経済人の思想が、個人に「内面化」してしまっていることへの危機感についても議論しています。

(ここら辺、能力主義に対するサンデルの課題認識に近いかもしれません)

 

 

 

コロナ禍は、「格差」の問題を露わにし、「エッセンシャル・ワーカー」「ケア・ワーカー」の存在は、その重要性を認識させつつ、「格差」「ジェンダー」「人種」の問題も浮き彫りにしています。

(エッセンシャルワーカーの担い手が、マイノリティや女性に偏っており、その賃金・処遇も恵まれていない…という点で)

本書の主張は、経済的・社会的に「女性的」とされているもの、「女性」が担っているものを、「経済学」に取り込んで行かなければ、社会や個人の幸福度は上がっていかない…っていうところにあるのだろうと思いますが、「今」見えるようになっているのは、まさにそういう事態であろうと思います。

 


(ただ危機が遠のくことで、その感覚も急速に摩滅しつつあるのかもしれません。

10万円給付に見るドタバタ騒ぎなんかを見てると…)

 

 

 

ケインズの評価が思ったより高かったり、リーマンショックの遠因に「ボウイ債」を紹介したり、個々のエピソードもなかなか興味深いです(アダム・スミスの家族の話とかも。ちなみに彼の夕食を作ったのは「母親」です)。

「フェミニズム」的視点の作品ではあるけど、視座は広いし、決して男性的原理に対する攻撃性が強く出てる作品でもありません。

「新しい資本主義」がどういうものかは分かりませんがw、その前提としてこういう視点があってもいいと、個人的には思います。

 


僕は結構興味深く読ませてもらいましたよ。

 

 

 

#読書感想文

#アダムスミスの夕食を作ったのは誰か

#フェミニスト経済学

 

計画は計画通り進まない:ドラマ評「ファウンデーション シーズン1」

途中で止まってたんですが(5話くらい)、やっと最後まで見ました。

最後の3話は「一気」でしたね。

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原作の「銀河帝国の興亡」は相当昔に読んだっきり(しかも多分前半の三部作だけ)なんで、比較するのは失礼な話だとは思うんですが、それにしても「タッチ」は随分と違うなぁとは感じています。

もっと「淡々」とした話だったんじゃないか、と。

それに比べて、このドラマはかなりエモーショナルな展開になっています。

皇帝の「クローン制」はドラマオリジナルの設定なんですが、なんか人間臭いんですよ。これがまた。(やってることは冷酷無比とも言えますが)

 

 


「ファウンデーション設立」を提唱したハリ・セルダンの逮捕・追放から始まって、物語は、

・ファウンデーション(メインは番人サルヴァー)

・帝国(メインは3人の皇帝)

・宇宙空間(メインは伝記作家ガール)

に分かれて進みます。

「ウィッチャー」ほど時間軸は錯綜しないのでw、場面の切り替わりは頻繁ですが、それほどはストーリーを追うのは苦労しませんでした。

「ガール」と「サルヴァー」は原作では男性だし、皇帝は「3人のクローン」ってオリジナル設定ですから、キャラ的にはかなり原作に手を入れています。

話は盛り上がったので、それがそれで成功だった…のかな?

 

 

科学技術は魔法レベルにまで進歩してるのに、結構風俗がローマ帝国風だったりして、なんともチグハグなところも見えます。

そこを受け入れることができるかどうか、ってのが「第一関門」かもしれません。

そこも含めて多彩な映像表現に僕はすごく感心はしたんですけどね。

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「シーズン2」への更新はすでに決定しているとのこと。

見るでしょうね。多分。

しかし「全80話」(シーズン換算だと8シーズン?)と言われる全貌の映像化ができるかどうかは、割と微妙なんじゃないかなぁ。

オリジナル要素がうまく物語の推進力となっていくのかどうか。

そこら辺でしょうか?

 


#ドラマ感想文

#ファウンデーション

#AppleTV+

オフビートなアクション大作?:映画評「ザ・スーサイド・スクワッド “極“悪党、集結」

ジェームズ・ガンによる「スーサイド・スクワッド」シリーズの<リブート?>作品。

まあ、続編でも、リブートでも、どっちでもいいかな、これはw。

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ストーリーの骨子は基本的には「よくある話」

 


「極秘任務を課せられた精鋭部隊が他国に潜入し、苦難の末、ターゲットに迫ったら、その「極秘任務」の裏に自国政府の隠蔽工作が絡んでいたことを知らされる…」

 


その「精鋭部隊」がDCヴィラン(悪党)で構成されること

CGを駆使したド派手な展開をすること

 


ってのが「スーサイド・スクワッド」らしく、それをジェームズ・ガン特有のオフビート感でたっぷりコーティングってトコしょうか。

「2時間12分」とちょい長めなんですが、始終クスクス、ゲタゲタで、あっという間に終わっちゃいました。

 

 


コロナ禍ってこともあって、なかなか評価はしにくいんですが、批評家とかの評価に比べると、興行的には「期待したほどでは」…って感じだったのかな?

まあ、そうかも。

だいたい「DCヴィラン」って全然メジャーじゃないし(辛うじて、ハーレイ・クインでしょう)、このオフビート感が万人受けするとも思えない。

「ガーディアン・オブ・ギャラクシー」もメジャーじゃないメンツの話で大ヒット…でしたが、あれは基本的に「ヒーローもの」でしかたからね。

「悪党」なんだけど、物語的にはヒーロ的な活躍を…って本作の構図は、「ヒネリ」がある分、見るものを選ぶところがあるのかも、です。

 


もっとも本作の「DCヴィラン」。

造形はともかく、行動原理はほとんど「ヒーロー」ですけどw。

ハーレイ・クインくらいかな、ヴィランっぽさを見せてくれるのは。

その分、浮いてるけどw。

 

 


続編があるかどうかは分からないし、あってもなくてもいいw。

ただジェームズ・ガンの作品は、やっぱり観たいですねぇ。

何やら「ピースメイカー」を主人公にした連続ドラマの企画もあるとか。

それはそれで面白そうです。

 


「便器」って…w。

 

 

 

#映画感想文

#ザ_スーサイド_スクワッド_極悪党終結

#ジェームズ_ガン

最大の課題は「格差」ということになるのかな?:読書録「ヨーロッパ・コーリング・リターンズ」…の一部

・ヨーロッパ・コーリング・リターンズ 社会・政治時評クロニクル2014-2021

(の「2019-2021」)

著者:ブレイディみかこ

出版:岩波現代文庫

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ガリガリの「左派」(日本でいう「リベラル」じゃないw)ブレイディみかこさんの社会・政治時評。

2016年に出版されていたものに21年までの記事を追加して出版。

2014年からの大きな流れを振り返る意味で一読…にはならずw、2019年以降の記事だけを読ませていただきました。

以前の記事を読むことにはそれなりの意義はあるとは思うんですが、なんか色々変わり過ぎてて、そこまで遡る気分になれなかったんですよねぇ。

 


本書の視点は

「イギリス在住の左派日本人から見たイギリス・欧州の社会・政治の状況を紹介しつつ、日本の現状・未来への視座を提示する」

というもの。

時期的にいうと、

 


・自由主義政策→緊縮財政政策でボロボロになったイギリスがEU離脱を決議。その流れの中で反緊縮財政を掲げるコービン労働党が勢いを増していたが、2019年の総選挙で急失速した。

・その後、コロナ禍において「一体感」を醸成したイギリス社会が、長引くコロナ対策の中で徐々に分断を露わにするようになり、格差と分断が社会的な危機として激化・表面化している。

 


…というところでしょうかね。

ブレイディさんの立場から言うと、

「反緊縮政策で盛り上がったコービンが、党内事情で失速しちゃうなんて〜」

「コロナ禍で非常時のイギリス人の<団結>をみたのに、それがこんな風に忘れ去られていっちゃうなんて〜」

って残念な流れではあるんですが、一方でその根幹にある「格差と分断」というテーマが、より表面化し、<敵>として強く再認識されている…という状況でもあろうかと。

イギリスほど極端でもないし、先鋭化もしていませんが、構図そのものは日本も同じかもしれません。

 


<緊縮とは、簡単にいえば政府が財政再建を優先し、財政支出を削減したり、増税を行なったりすることである。それは個人の貧困も増加させるが、福祉や教育、医療などへの公共サービスも貧しくさせ、長期的なダメージを残す。所得補償で個人の当座の生活は保障できても、長い年月をかけて予算を削られ続け。縮小した公共サービスの休場は一朝一夕で修復できるものではない。>

 


日本の今回の衆院選で「維新」が勢力を伸ばしました(まあ、評価は色々だけど)。

その後も国会議員の交通費問題等で維新は色々気勢を上げてるんですが、「改革」の旗はいいとして、その方向性が「緊縮財政」に向かないかは、チョット心配なんですよね。

議員の経費を削減させるのは、「自分達がまず身を切って、それから国民に負担を…」って流れになるのが今までだったから。

コロナ対策で「そういうもんじゃないんだ」ってことが分かったんだったらいいんだけどな〜。

そこんところがどうも…。

 


(だから立憲…とは、僕はなりませんがね。彼らが言ってることには「芯」がない。

ここは大阪で「コロナ対策」を中心でやった(成否は別)維新とは格段違います)

 


#ブレイディみかこ

#ヨーロッパコーリングリターンズ

#読書感想文

こう言うスタイルがいちばん好きかな?(村上さんがやらなくてもいい…とも言えますが):村上RADIO第30回

もう「30回」。

今回のテーマは「村上の世間話」。

いちばん「ラジオ」っぽいかも。

例によって、HPで丁寧な書き起こし。

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https://www.tfm.co.jp/murakamiradio/

 


個人的には「いてまえ、日産」の話が好き。

いいよね。「いてまえ、日産!」w。

曲はチャールズ・アーランドのファンキーなの。

 


ちなみに「そば屋の話」。

多分、そのオッサン(僕より10くらい下だけど)は村上さんのファンなんでしょうね。

で、村上作品が最近、フェミニズム的にネガティブに捉えられがちなのも分かってる。

それで女性に対してはdisりモードで…って思うんですけど、どうでしょ。

もしデートだとしたら、こういうネガティブ話ってどうかな?とも思うんやけど。

 


余計なお世話やねw。

 

 

 

#村上RADIO

#村上春樹