・われらはレギオン3 太陽系最終大戦
著者:デニス・E・テイラー 訳:金子浩
出版:ハヤカワ文庫(Kindle版)
ちょっと間をおいて…とも思ってたんですが、我慢できずにチョット読み出したら、一気に最後まで、でしたw。
「アザーズとの対決」をメインにしながら、「地球外生命体との交流」「人類の宇宙移民世界とのあれやこれや」「人類の宇宙移民計画の推進」等々が並行に進展し、見事に(多少御都合主義的でもあるけどw)「大団円」を迎えます。
「2」で一番興味深かった「ロマンス」の行方も…。個人的にはもうちょっと「切ない」のが好みですが、まあ作品の傾向としてはこんなトコでしょうね。
主人公(ボブ)がAIとして目覚めたのが2133年。(オリジナルの「ボブ」は現代人です)
本作のラストが2263年。
「130年」というのは「人間」としては「長い」けど、この物語の設定であれば、もっと長いスパンをカバーしててもおかしくはないかな。
実際、人間や地球外生命との「交流」というのは一世代+αくらいですから。
ただラストを考えると、この「一世代」との交流こそが、ボブ「たち」にとっては最も「人間らしく」、そしてそこに「見切りをつける」期間だったとも言えるでしょう。
で、ラスト。
映画の「攻殻機動隊」のラストで草薙はネットの中での「自由」を手にしますが、本作のラストで、ボブたちは「宇宙」への「自由」を手にします。
「人間らしさ」や「人としてのしがらみ」への見切りをつけるという点では両作とも共通していますが、草薙の決断には爽快感とともに一抹の背徳感めいたものを感じたのに対して、ボブたちは至って「明るい」w。
作者が「攻殻機動隊」を知らないわけないと思うんですが、「スタートレック」的精神に根ざしてるところが、この差なんですかね。
まあ、好きですけどね、こういうのも。
ただこの明るさは時に喜劇的にもなって、例えばラストではボブたちは500名にもなるんですが、彼らが集う「総会」はさながら「ミニオンズ」のような …w。
いや、ミニオンズも好きなんで、それもそれで良いんですけど。
一作目を読んだときは、ハードSF寄りの設定と、ボブのコピーとともに拡散していく展開にチョット疲れたんですが、二作目・三作目と来て、並行するスペースオペラ的ドラマを十分に楽しむことができました。
個人的には「拾い物」のシリーズでした。
あとがきによると続編も書かれているとのこと。
さて、「自由」を得たボブたちはどうなるのかな