・ふしぎな中国
著者:近藤大介 ナレーター:住谷哲栄
出版:講談社現代新書(audible版)
講談社の記者(一時期、講談社の中国の子会社のトップだったりもするけど)が中国の「今」を紹介する作品。
天安門事件以降、中国にこだわって追いかけてきた方のようです。
小泉訪朝に同行なんかもされてるようですから、ポジション的には保守寄りなんでしょうね。
ただ内容は「反中」「嫌中」ではなくて、結構フラット。
「日本」との関係をフィルターに整理して話をしてくれるので、読みやすくはあります。
ただまあ、本書のスタイルが、
「中国の<流行語(単語)>をキーに、中国の<今>を語る」
ですからね。
オーディオブックで聴くのは、ちょっと違うかもw。(目次を見ればなんとなくはわかりますけどね)
第1章 スマホ世代の中国人
第2章 毛沢東の再来を目指す習近平
第3章 「皇帝」習近平を悩ますもの
第4章 24時間戦えますか?
第1章が、新しい中国社会・世代の姿
第2章が、習近平の政策
第3章が、中国経済の現状
第4章は、中国ビジネス・社会の現状
…ってところでしょうか?
「毛沢東」的な一党独裁・個人崇拝を進める習近平に懐疑の目を向けつつ、一方で強かな中国人・中国社会の姿を具体的に語ってくれています。
「引越しできないお隣さん」について、色々な噂話を集めるにはちょうど良い…って感じw。
明治維新後の「開国・富国強兵」、第二次大戦後の焦土からの「経済発展」は、世界史的に見ても短期間で変貌する特異な「日本」の姿になってると思いますが、
89年の天安門事件後の中国の経済発展
87年の民主化宣言以降の韓国社会の変容
は、その日本以上に短期間に両国の姿を変えています。
日本でさえ急速な社会の変化に歪みや世代間のギャップが課題になったりしてきたんですから、中国・韓国はその比じゃない。
その原動力に、ただでさえ変化の激しいIT産業があるので尚更…
…って言うのが僕の認識です。
この尺度を頭の中に置いておかないと、理解が追いつかないことが結構ありますから。
中国の場合、この一方でイデオロギックでアナログな「共産党独裁」ってのがあるから、余計こんがらがるんですよねw、
とはいえ、中国も韓国も「引越しできないお隣さん」。
そして「他人を変えるのは難しい」のは個人でも国家でも変わりがない。
それを前提にすれば、
「相手の状況を把握し、<解決>ではなく<対処>していくしかない」
ってのが個人としては精々のところでしょう。
こういう作品を時に読むのもそのため…と僕は思っています。
「国」としての<対処>はまあ、もうちょい色々あるでしょうが…。
(個人的にはこのタイミングで日韓政府が関係改善に動いていることは<対処>として評価しています)
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