アレサ・フランクリンの伝記映画。
幼少時代から、「チャーチ・コンサート」までを、2時間半で追いかけています。
観る前は「感動路線の音楽物語」と思ってたんですけどね。
父親の束縛や夫の暴力から自立し、女性シンガーとして成功する…みたいな。
実際、「リスペクト」がヒットするまでの下りはそんな感じです。
(で、実際このマジソンスクエアでの「リスペクト」が圧巻)
でもこれは折り返し地点。
「アメージング・グレイス」に至るまでの後半は、アレサの自分自身の「心の闇」との苦闘になります。
序盤、あるショッキングなシーンがあって、
「ん?ここんとこ、こんな感じで流すの?」
とちょっと引っ掛かったシーン。
これが終盤にまでアレサの抱える深淵であったことに、脚本・演出の深みを感じました。
迫力満点のメアリー・J・ブライジの「ダイナ・ワシントン」。
サービス出演かと思われた彼女のきついセリフにも、重い意味があったんやなぁ。(そのシーンでは「レイ・チャールス、貰い事故しとる」と苦笑だったんだけど…)
人種差別運動での黒人の苦闘。
しかしその裏側には黒人社会における男女差別の厳しさという側面がある。
最近の黒人女性映画にはそういう側面にスポットが当たったものが出てきていますが、本作もその系譜の一作であり、その複雑さと深刻さを突きつけてくる作品でもあります。(ある意味、アレサの人格さえも蝕んでいるわけですから)
それでも足掻き、前に進もうとし、新たな意味で自ら「神」を見つける。
本作のラストが「チャーチ・コンサート」のアメージング・グレースなのは、それだからこそなのでしょう。
あそこでの、あのカットバック。
泣けるわ…。
(逆にあそこでの父親とのああいう<和解>ってどうなの?と思いもしましたが。
史実はちょっと違う感じだったようです)
という訳で、ただいまアレサのプレイリストを聴いております。
ゴスペル調「Let It Be」とかもw。
やっぱすごいよ、アレサ・フランクリン。
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