鈴麻呂日記

50代サラリーマンのつぶやき

オモロかった:読書録「自由研究には向かない殺人」

・自由研究には向かない殺人

著者;ホリー・ジャクソン 訳:服部京子

出版:創元推理文庫

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Amazonのオススメかなんかに出てきて、衝動買い。

届いたのを見て、

「いやぁ、こんなに分厚いんや…(500ページ超)」

とビビりましたが、読み始めたら一気でした。

(←やや誇張w。2日で読みました。これくらいを一気読みする「体力」がなくなってます…)

 


5年前に女子高生が失踪し、彼女のボーイフレンドが「彼女を殺した」とメールを残して自殺。

そのことに納得できないヒロインは、学校の「自由研究」の課題にこの事件を取り上げ、その真相を探ろうとする…

 


「過去の事件」を再調査して「新たな真実」を…っていうのは「パターン」ですが、本書の場合「自由研究」を捜査の目くらましに使ってるあたりが新基軸ですかね。

この手のストーリの場合、

 


事件を追ううちに、被害者の二面性や関係者やその家族たちの「秘密」が露わになり、コミュニティーの影の部分があからさまになって行く

 


って展開になりがちですが、本書もそのパターンw。

ただそういう話が「暗い」感じになりそうなのに、本書は結構「カラッ」としたトーンなのが面白いです。

一気に読めたのも、「だから」ってのもあるかと。

 


その要因の第一は「ヒロインのキャラ」。

前向きでフェアな姿勢が一貫してて、それが作品のトーンを支配してるってのがあります。

作品のスタイルとしても、レポート、インタビュー、SNS、チャット、手帳等を作中に組み込んで、その中から現代の10代の若者たちの生態なんかも浮かび上がってくるようにしてるあたり、「読ませるなぁ」と感心しました。(ここら辺、ちょっと「リンカーン・ライム」シリーズを思い出します)

 


単純な「犯人探し」に終わらせず、その裏にあるマイノリティや女性への差別・抑圧、学校でのいじめやカーストの存在なんかにも言及するあたり、「現代性」もしっかりあるミステリーです。

僕は好きですね、こういうの。

 


どうも3部作になってるらしくて、あと2作も発表されてる模様。

ちょっと楽しみなシリーズになってます。

 


#読書感想文

#自由研究には向かない殺人