・コロナ対策 各国リーダーたちの通信簿
著者:栗田路子、ブラド夏樹、田口理穂 ほか
出版:光文社新書
イギリス、フランス、ドイツ、ベルギー、スウェーデン、アメリカ、ニュージーランド
この7カ国のコロナ対策について、リーダー(国のトップ)の対応を中心に、現地に移住している記者たちがまとめた作品。
コロナ対策についてはまだ「on the way」ですし、それぞれのまとめ方も統一感がなくて比較しづらいってのもありますが、「今後」のコロナ対策の方向性を考える上で、こう言う「速報」が読めるのはありがたいです。
一読してすぐに思うのは、
「日本の対策は<緩い>わなぁ」
要請のみで罰則なし…っていう意味ではスウェーデンに近いけど、ここの細かい要請内容なんかを見ると、日本より厳格な印象。(「スウェーデンは集団感染戦略だった」…と言うのは、どうも誤解っぽいです)
それが「悪い」ってわけじゃないんですよ。
事実として、今までは日本の感染状況は、これらの国よりもずっとマシですからね。
今までの結果だけ比較すれば、ニュージーランドは日本より好成績。それ以外の国は日本より「かなり」マズイ状況です。
しかし「これから」はまだ不透明。
変異株という要素も出てきている中、一歩進んだ感染対策を日本も取り入れなければならなく可能性が出てきています。
今進んでいる特措法・感染症法改正の流れが、まあそれなんですが、
「私権の制限だ!とんでもない!」
という前に、他の国の対策の内容を確認しても良いんじゃないですかね。
ほとんどの国が罰則つきでの行動制限・営業制限を実施しています。
それでも苦慮してるわけですからねぇ。
(日本が「私権の制限」に慎重なことについては、太平洋戦争期の反省に基づいている面もあると思います。
その点は僕もよく考えなければならないと考えていますので、こういう形で「おっかなびっくり」進んでいること自体は「しゃあないな」とも思ってます。
ただまあ、今後新たな(さらに強力な)ウイルスが出てくることや、万が一の事態(大災害・騒乱・戦争)の可能性を視野に入れると、有事における私権の制限に関する枠組みや考え方は考えておくべきだろう…とも感じています)
本書に関して言えば、うまくやってるとこもも、うまくいってないところも、共通するのは
「トップが<声>を出していて、国民とのコミュニケーションを取ろうとしている」
という点。(マクロンは最初はここが「?」でしたが、改めているようです)
ここはまあ、日本は「落第点」ですかねw。
あえて言えば尾身さんがその役割を担っていましたが、「経済を並行して回す」という方針になった時点で、その役割を果たせなくなってます。(感染対策の専門家なんだから当たり前)
「そこは政治家が…」
なんですが、これがねぇ。
ただ僕は日本の派閥の長クラスの政治家の「オープンなコミュニケーション力」には期待してないので(クローズドな場でのコミュニケーション力が高いことは承知していますw)、そこを批判する気にはあんまりなれませんが。
尾身さん後の「国民とのコミュニケーション役」は西村さんなんでしょうけど、今ひとつですな。
見えてきてる顔ぶれだと「河野太郎」くらい?
しかし彼も包容力のあるタイプじゃないしなぁ…。
菅さんが「豹変」するのを期待するしかないんでしょうかw。
(比較的自治体の長はその役割を担っている人材が出てきてるようにも見えます。今の状況下では、そこに期待するしかないっていうのがリアルなとこかもしれません。
「現場任せ」
これまた、なんと日本的な…ですがw)
まあ、こんな感じで色々考えさせられたりもしながら、興味深く読めた一冊です。
あ、「読み物」としてはアメリカ(トランプ前大統領)の無茶苦茶っぷりがフィクションめいてて読ませます。
起きてることは断片的には情報として知ってることなんですが、まとめて読むとまあ…。
しかしその結果としてすでに40万人以上の方が亡くなっているんですから、「笑い事」じゃあないんだよなぁ…。