鈴麻呂日記

50代サラリーマンのつぶやき

そうは言っても、この邦題は…w:読書録「『グレート・ギャツビー』を追え」

・「グレート・ギャツビー」を追え

著者:ジョン・グリシャム 訳:村上春樹

出版:中央公論新社

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「フィッツジェラルド絡みとはいえ、グリシャムを村上春樹が訳さなくても」

とは思ったんですが、最近のグリシャムだと日本じゃあんまり話題にならないかな?

そういう意味じゃ、「村上春樹訳」ってのは大きな「売り」になるんでしょうね。

読んでみれば面白いのは確かですし。

 


作品としてはグリシャムっぽいミステリー/サスペンス…ではなくて、「カミーノ・アイランド」を舞台に、そこで独立系書店を経営する男性と、彼の妻、彼らの友人たちのキャラクターの魅力と、彼らが作り上げる文学的コミュニテイの面白さ、で読ませる作品って感じです。

もちろんフィッツジェラルドの生原稿の強奪事件があって、それを巡る駆け引きなんかも読みどころではあるんですが(ちょっとマックイーンの「華麗なる賭け」を思い出しました)、そっちの方は「添え物」って印象もあるくらいです。

 


だからまあ、原題の「Camino Island」には納得。

確かに日本で売るには「弱すぎる」ってのもあるんでしょうが、「村上春樹訳」ならマンマでもよかったんじゃないかなぁ。

「華麗なるギャツビー」「長いお別れ」を、「グレート・ギャツビー」「ロング・グッドバイ」で押し通した訳者なんですから。

 


<『「グレート・ギャツビー」を追え』というタイトルは、なんだかクライブ・カッスラーの「ダーク・ピット」シリーズのタイトルを借用したみたいで、僕としては少しばかり気恥ずかしいのだが、どのように知恵を絞っても、これ以上のものを思いつけなかった。>(訳者あとがきより)

 


いやぁ、「ダーク・ピット」シリーズも原題とはまたちょっと違うから、これは「狙い」でしょうw。

そういうとこも含めて「楽しんでほしい」ってことかな。

楽しめたから、まあいいんですけど。

 


続編もあるようですが、そっちも「村上春樹訳」でいくのかしらん?

そうじゃなくても、「ブルース・ケーブル」ってキャラは気に入ったので、多分読むと思います。

村上春樹&出版社の「思惑通り」かもしれんけどw。