・育休刑事
著者:似鳥鶏
出版:幻冬舎
妻が新聞の広告で見かけた作品。
この作者のシリーズ(市立高校シリーズ)を息子が読んでたのでってがあってですがね。
僕もちょうど軽いのが読みたかったし、妻も息子も読むなら、モトwも取れるかな…と思って購入しました。
「訳あって」育休をしている捜査一課の「男性」刑事が、育休期間中にもかかわらず駆り出され、なぜか息子(幼児)の行動をキッカケに、事件の真相に迫る
…と言うのが基本的構図。
この本には3編の短編(中編)が収められています。
作品のポイントは、
①「育児」をめぐる苦労や喜び、周りの偏見、育休を取ることの難しさ等々が結構細かく書かれている。
②男性が「育休」を取ることの(本作の場合は奥さんは仕事復帰している)難しさや、男性が「育児」に正面から向き合うことの難しさが描かれる
③主人公の姉のキャラクターが面白く、(妻も含め)「能力が高く、活躍もしている女性」が登場する。
「推理」の方は「手堅い」って印象です。
表紙は軽いですが(この作者の作品に共通します)、量産されるラノベとはちょっと違ったポジションの作品だと思いますね。
(と言うか、本書のような軽めの日常推理本が、ラノベとの橋渡し的な役割を果たしてきたのかもしれません)
僕自身はまとまった「育休」は取ったことありません。
そういう「時代」じゃなかったってのもありますが、今だってここまでガッツリ「育休」を取ってる男性は少数派でしょう。
そういう観点から見ると、
「男性ももっと育休をちゃんと取れるような社会に…」
って感想もあり得るかもしれせんが、僕が読み終えての感想は、
「男女かかわらず、<育児>を支援できるような社会的な制度や仕組み、支援ビジネスを充実させないと、とても<育児をしながら社会で活躍>なんてできないな」
って方。
ましてや「刑事」なんてねぇw。
最近、「女性の活躍推進」に関しては色々な動きがありますが、「待機児童」も含めて、ここら辺までカバーしないと、実質的な変革は難しいでしょうね。
それが難しい話であるのも十分に理解しているつもりですが、それをどーこー言ってられるような状況でもないと思ってるんですが…。
(今朝読んだ坂東眞理子さんの記事なんかも考えさせられます。
<坂東真理子「東大・上野祝辞に思う女子の現在」>
https://toyokeizai.net/articles/-/283119 )
<続編>はあるかな?
on the wayの育児体験をベースにしてるそうですから、あってもいいように思うし、あったら読むと思います。
それが引き続き幻冬舎から出版されててもねw。