・カササギ殺人事件<上・下>
著者:アンソニー・ホロヴィッツ 訳:山田蘭
出版:創元推理文庫(Kindle版)
クリスティ風の本格推理小説。
その「解決編」である最終章が失われ…
とまあ、作中小説と現実世界が入れ子になった構成。
ほぼ上巻を費やしたこの作中小説の出来がすごく良くて(黄金時代の本格推理小説仕立て)、グッと読まされ、それが中断されて先が気になって、一気に下巻のドラマに引っ張られます。
この出来の良い作中小説の作者が見事な「クズ」っぷりでw、いわゆる「モーツァルトとサリエリ」…と言う展開になります。
まあ、クリスティもドイルも、自分が作った探偵たち(ポアロ、ホームズ)には辟易としてて、
「自分にはもっと他に書ける作品が」
と思ってたようです。でも自分の追い求めるものと、世間の評価は大きくズレ、そのことを苦々しく思ってたとのこと。
作中の作者は、言ってみればそのカリカチュア。
さすがにクリスティもドイルもここまで下衆じゃなかったでしょうがw。
まあでも面白かったですよ。
クリスティを楽しんだ人はかなり楽しい時間を過ごすことができるんじゃないですかね。
悪意を持った作者の仕掛けを知っても、作中作の品位は保たれてるように読めるのが、なかなかイイです。
結局作品ってのは、どっか作者とは切り離されたトコロで読まれるものなのかもしれません。
個人的には、あと本作はほぼiPhoneの画面読み上げ機能で読みました。
誤読が多いのは前のブログに書きましたが、一番多いのは「漢字の読み違い」ですね。
行った(イッタ)→オコナッタ
は書きましたが、
車を駐める(トメル)→車をチュウめる
とかねw。
要は文脈を読めない。
でも脳内補完のおかげで、あんまり気にせず、結局下巻も8割方は「読み上げ」で対応しました。
個人的には今後、読み上げでの読書は増えると思います。
御堂筋線はラッシュもあるし、「老眼」は眼に負担が大きいですからねぇw。
(AIで、もうチョイ「文脈」を読めるようになれば、なお有難いんですが)