・世界経済入門
著者:野口悠紀雄
出版:講談社現代新書
友人のコメントで紹介があって、面白そうだったので。(甲谷くん、ありがとう!)
題名だけをみると、お硬い教科書のようですが、内容としては現代の世界経済の状況や時事的なトピックを取り上げながら、それが経済学の基礎知識等どう連動して来るのか…みたいな感じになってて、興味深く、刺激的です。
もちろんまあ、「教科書」的なところもあって、リカードの「比較生産理論」やら、為替レートのあたりの「講義」は、大学時代を思い出して、冷や汗が出てきましたけどねw。
日本にとって最大の課題は「中国」なんですな、やっぱり。
①日本が世界経済でポジションをとっていた「製造業・工業」の分野で、中国の追い上げを受け、相対的に日本はポジションを落としている。
(単なるキャッチアップだけじゃなくて、水平分業型の製造産業についていけてないという大きな問題もあります)
②かつて日本が追い落とした米国は「高度サービス産業」のウエイトを高めることで、経済成長路線を堅持できている。日本はこの転換に遅れていることが「失われた20年」となっているが、この分野さえも、(リープフロックもあって)「中国」が猛烈な追い上げを見せている。
「②」についていえば、最近話題になった「東京オリンピックボランティア」の募集システム。
<むずかしすぎる!五輪大会ボランティア応募フォーム>
https://news.yahoo.co.jp/byline/kandatoshiaki/20180927-00098411/
「国を挙げて」の施策(のはず)の東京オリンピックでこれは相当に絶望的な状況。
例えばこのブログなんかで紹介されている中国の「ITの社会実験」の様相なんかと比べたら、
<中国IT最新事情>
http://tamakino.hatenablog.com
「高度サービス産業」への取り組み状況の格差も相当なものがあります(まあ、実験ができるかどうか…ってとこで社会の成熟度の差もありますが)。
これは「未来」を見据えたら、真剣に考えるべきこと。
加えて「10億」を超える人口。
これは広大な国内マーケットの可能性を示しており、(かつての日本も実際はそうだったんだけど)国内市場中心での経済成長局面へ移っていく段階になりつつあるとも言えるでしょう。
高度成長期やバブル前の日本がそうでしたが、その段階だと一定程度海外からの干渉を回避することができるんですよね(そのマーケットに外国はリーチしたいから、決定的な対立は避ける)。
軍事的な課題のあった日本に比べると(要は日米安保)、中国はこの点も優位なポジションにあります。
このことを強く認識した中国との関係を構築できているか…って観点を考えると、甚だ不安。
北朝鮮政策における「今までの」安倍政権は一定の成果をあげてると思ってるんですが、「これから」を考えたら、「ど~なのよ」ってのが僕の懸念です。
でも石破茂氏もここら辺はあんまり期待できんしな~。
早々に「小泉進次郎」でいいんじゃないの、もうw。
(国としては同じく工業化が進んだために製造業の罠から抜けなくなっていたドイツの取り組みが参考になりそう。
民間ではココらへんの目配りはされてるから、そこを強力に下支えし、高度サービス産業(要はイノベーションに支えられた産業)を構築する政策を急いで打ち出して欲しい。
タイミングとしては「5G」の普及がポイントかと)