・会社人生、五十路の壁 サラリーマンの分岐点
著者:江上剛
出版:PHP新書
50代を迎えたサラリーマンにむけた「指南書」というか、「慰めの書」というか、「トランキライザー代わり」と言うか…。
定年のない職業の人や、充実した出世コースを歩んでる人にはあまり用のない作品。
かと言って、本書を読んだからと言って、「目が覚め、雲が晴れる」…ってもんでもないですがね。
書かれてることのポイントは、スキルの棚卸しとか、人脈の見直しとか、まあ割りとこの手の作品では言われがちな事です。
ただそこら辺のことを、割と明け透けな物言いでイロイロな実例をあげつつ語ってるあたり、
「サラリーマンをよく分かってるなぁ」
って感じがあります。
「若いヤツは50代のあなたより仕事ができない」
「仕事の出来ない奴が、社内政治をうまくやって生き残る」
…あたりは、「そんな訳ないだろう」と思いつつ、50代サラリーマンの心をくすぐったりもしてw。
本書の一番の読みどころは、江上さん自身のサラリーマン人生の振り返りですかね。
井伏鱒二に師事し、
みずほ銀行に入って総会屋対策で辛酸を嘗め、
合併後の銀行に見切りをつけて小説家に転身、
日本振興銀行の社外取締役になったと思ったら、
コンプライアンスがらみで自身が社長に、
挙句、日本初のペイオフで倒産、
社外取締役としての善管義務違反で訴訟(和解)
…まあ、他人事ながら、「これはまあ」って感じ。
その体験から出て来る「サラリーマン人生」への一種の諦観とアドバイス。
本書の読みどころはそこじゃないかな、と。
まあ「のに」病にかからないように、「いま」を充実させていく、
ってのは、おっしゃる通り。
正直、江上さんほどの身を切るようなサラリーマン人生は送っておりませんがw、折り返した先、妙な方向に逸れないよう、気をつけて行きたいと思います。
家族にも見捨てられないようにw。