鈴麻呂日記

50代サラリーマンのつぶやき

連載誌が個人的には「…」ですがw:読書録「日本再生は、生産性向上しかない!」

・日本再生は、生産性向上しかない!
著者:デービッド・アトキンソン
出版:飛鳥新社


個人的には最近の「働き方変革」「生産性向上」に関する著作としては、アトキンソン氏の「新・所得倍増論」、伊賀雅代氏の「生産性」の2作が、ポイントを押さえていて、非常に参考になりました。
「新・所得倍増論」は、前作の「新・観光立国論」を踏まえて観光サービス業の可能性に触れつつ、日本のサービス産業の生産性の低さとその原因、そこから生産性向上のための方策を論じた好著だったと思います。
出版したらいろんなところから反発があったことが本書では述べられてますが、僕自身は分析から対策まで、「おっしゃる通り」って感じでしたね。
「女性の活躍推進・生産性向上」が大きなキーとなるが、同時に「どういう仕事・業務をするか」が最大ポイント(「生産性の高い役割」を女性が担うべき)という指摘には膝を打つ思いでした。
だからこその「難しさ」があることも、実感していますが…。


本書は「月刊WILL」「月刊Hanada」に連載された記事をまとめたもの。
「新・観光立国論」「新・所得倍増論」と被ってますから、内容としては改めて読む必要性はないでしょう。確か「新・所得倍増論」で作者自身が自身が「主張したいことは全部書いた」みたいなことを言ってましたが、その通りなんでしょうね。
僕はロジカルな作者の論調が好きなので、それを改めて読みたかったのと、少し時間が経ったので、作者の主張を再確認…というつもりで読ませてもらいました。
その目的は果たせたかな。


しかし「WILL」と「Hanada」に連載してたんですね
二階氏との対談が本作には収められてますが、そこらへんの流れもあるのかなぁ。まあ、「政策」として実現するためには、政府・与党との連携は不可欠。アトキンソン氏ならプラグマティズムの立場から、ここら辺の抜かりはないでしょう。
一方で前作に対する批判なんかは、多分この雑誌の読者層に一番多いのではないか、と。
書く側も書かせる側も、それは分かってて…の大人の対応なんでしょうか?w
今の政府の大きな動きが、少なからず作者の主張に沿った方向に向かってる…ってのは間違いないですしね。(僕はその点については「賛成」です)


その流れが世界の「格差」を是認するものであり(富裕層を呼び込むというのが作者の観光戦略です)、少なからずその影響が日本社会にも出てくるリスクがあることは間違いありませんが…。
でも、それは「あと」で考えてもいい話(再配分論ですからね)。
まずは「配分」できるだけのものを生み出すようにならなきゃ行けない…というのが僕の立場です。


ここら辺のスタンスが整理されてないのが、(日本の)リベラル勢力への不満なんですけどねぇ。