・眠る狼
著者:グレン・エリック・ハミルトン 訳:山中朝晶
出版:ハヤカワ文庫
- 作者: グレン・エリック・ハミルトン,山中朝晶
- 出版社/メーカー: 早川書房
- 発売日: 2017/04/06
- メディア: 文庫
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帯にリー・チャイルド(「ジャック・リーチャー」シリーズの作者)の賛辞がありますが、雰囲気的にはリーチャーを思わせるところがあります。
強いんだけど、リアリティがあり、でも根本的にはモラリスト。
陸軍との関係なんかも似てますね。
離れていた故郷に久しぶりに帰郷し、そこで事件に巻き込まれるのだが、実はその事件は自分の過去とも関係していて、事件を追いかけるうちに「過去の自分」とも否応無く対峙せざるを…
ってのは、割とよくあるパターン。
本作もその「パターン」を踏襲してて、「どんでん返し」も含めて、驚くような展開はないんですが、「読ませる」何かがあります。
都会(本作はシアトル)の影に潜む「犯罪界」に主人公自身が浅からぬ縁を持ってるってのは、アンドリュー・ヴァクスの「バーク」シリーズ(最近、どうなってんのかしら?)を思い出させますが、あくまで主人公は「まっとうな倫理観」を持ってて、そこらへん、歪ながらも筋の通った独自の「モラル」を持つバークとは違います。
その分、「底が浅い」とも言えなくはないんですが、こういうストレートさの方が「現代的」って感じもしますね。(どっちも僕は好きですが)
「回想シーン」が実に効いてるのは本書の上手いとこです。(最後の回想ではグッと来ちゃいました)
シリーズ化されて、本国ではもうすぐ三作目が出版されるとのこと。
退役した主人公はどうするんでしょうね?
魅力的なキャラがたくさん登場してるので、リーチャーみたいに「放浪」するんじゃなくて、シアトルを根城にした新しい物語を読みたいところです。
…それはそれでハードボイルドの「正しい系譜」って感じですが。