・ヒッキーヒッキーシェイク
著者:津原泰水
出版:ハヤカワ文庫
見城徹氏との「バトル」で有名になっちゃった津原泰水氏の作品(「つはらやすみ」で一発変換できるあたり…w)。
幻冬舎での文庫化が断念され、ハヤカワで…という奴です。
あるカウンセラーが、担当する引きこもりの4人を、あるプロジェクトに引きずり込んで…
と言うのがメインストーリー。
見城さんとのアレやコレやで有名になっちゃいましたが、「引きこもり」をテーマに(主人公格に)ってあたり、(例の川崎や元農水省事務次官の事件とかとの連想で)何やら作者の「持ってる」感というか、感覚の鋭さというか…が垣間見えるような気がします。
「厳しく」ではなく、「寄り添って」(と言うには、「勝手」だけどw)って辺りもね。
物語的には「好き嫌い」と言うか、「合う/合わない」はあるかもしれません。
全体の大きな流れを示さずに、何やら「場当たり」的にストーリーが進むように見えて、終盤に一つの「絵」が見えてくると言う…。
終盤に持っていかれるまでを楽しめるかどうか…ってのがあるかな、と。(僕も、途中ちょっとダレましたw)
ただラストを読んで、
「ああ、いい感じだったな」
とは思いました。
「大きな物語」ではない。
救われるとしても、それは身の回りのほんの数人の話。
でも、そこには「大きな物語」ではすくい取れない「何か」がある…。
まあ、百田尚樹さんとは作品の資質的にも相入れないものがあるかもねw。
少なくとも、何万部、何十万部も売れるような作品ではない。
でも、こう言う話を大切にする人は確かにいるだろう、と。
やっぱり出版社としてはこう言う作者や作品は大切にしたほうがいいと思いますよ。
「ビジネス」はまあ、大切なのは確かですけど。