・人工知能と経済の未来 2030年雇用大崩壊
著者:井上智洋
出版:文春新書
- 作者: 井上智洋
- 出版社/メーカー: 文藝春秋
- 発売日: 2016/07/21
- メディア: 新書
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もうこの手の本はしばらくいいかな、と思ってたんですが、「不屈の棋士」でコンピューターソフトvs棋士の闘いを読んで、人工知能・ロボットによる「雇用破壊」の可能性について改めて気になったところ、書店で見掛けて購入。
いつもだと電子書籍化を待つんですがね。
作者は「リフレ派」にして「ベーシックインカム論者」。
僕はどちらにも懐疑的な気持ちが強いので(とは言え、確固たる理論は持ってませんがw)、終盤は「どうかな?」とは思ったものの、そこまでは「なるほどね」って感じでした。
「人工知能」に関しては、それが将来、「人間に置き換わるのか」or「人間との協働により人間の能力を強化するのか」ってあたりが論点になるんですが、そこに「脳を作る」<全脳エミュレーター>と、「脳の一部機能を切り出して作る」<全脳アーキテクチュア>って考え方を重ねたあたり、面白かったです。
基本的に作者は楽観的なんですが(=スカイネットは当分無理)、その根拠には「全脳エミュレーター」の困難さがあります。これは納得感があります。
じゃあ、雇用は大丈夫?
…と言うとそんなことはなくて、「全脳アーキテクチュア」の進展によっても雇用は減っていくというのが作者のスタンス。その規模は、「働く人は人口の1割」ってとこです。
こういう社会構成だとどうしても「資本家」のみが稼げるようになり、格差が広がっていく、これを回避するのが「ベーシックインカム」であり、その財政的根拠をリフレで説明
…ってとこでしょうか?大きな流れは。(ちなみに格差は「労働が人から機械に置き換わった」方がなくなります。そのとき人類がどういうポジションにあるのかはなんとも言えませんが)
まあ、そこまで行くのかどうか、私にはなんとも言えませんが、「格差」の方向性は理解できます。
やっぱり21世紀の最大の課題はココになるんでしょうかね。
いずれにせよ、AIを核とした機械化が進展する中で、いかにして「労働者」が生き残るかは、「生産性の高い働き方」へのスライドが不可欠っていうのは、全くその通りだと思います。
その「生産性の高い働き方」すらも機械化されるようになったら…個人的にはそれを自分が見ることはないかな、と。ま、子供たちはわかんないし、もしかしたら僕自身が機械化されて、その事態を「見る」ことがあるかもしれませんがw。
終盤の自身の経済主張に強引に繋げてるあたりは如何なものかと思わなくもないんですがw、基本的にはわかりやすくて整理されてるんじゃないかなぁ、
「必読」とまで言いませんがw。