鈴麻呂日記

50代サラリーマンのつぶやき

人間だったんだ…:読書録「一瞬と永遠と」

・一瞬と永遠と
著者:萩尾望都
出版:朝日文庫

一瞬と永遠と (朝日文庫)

一瞬と永遠と (朝日文庫)


「ポーの一族」の40年ぶりの新作。
…の感想はまだ書けません。まだ完結してませんから(続きが冬ってのは遠いなぁ)。
ただ掲載誌を買っちゃた時に目について、購入しちゃったのがコレ。
一番古いのが76年だから、30年以上にわたってパラパラと発表されてきたエッセイやら評論やらを集めた作品ということになるようです。


解説で穂村弘氏が


<「萩尾さんも人間なんだ…」と思った>


って、書いてるけど、
いや、全くそんな感じですw。
家族に関する悩みもそうですが、実に批評が「論理的」で「鋭い」。
でもそれって「人間の技」でしょ?
なんか「萩尾望都」って、もっと超絶してる印象があったんですよねぇ。(まあ、今はそんな感じもなく、この「秀才ぶり」もわかる気もしますが)


白眉は手塚治虫の「新選組」評かなぁ。
村上春樹の「ノルウェイの森」評は、原作付きマンガ(一連のブラッドベリ作品とか、「百億の昼と千億の夜」とか)なんかのことを想起すると、ちょっと深いです。
ブラッドベリやPKディック評も興味深いですね。


僕自身は「残酷な神が支配する」がちょっとダメで、以降、萩尾望都作品とは距離を置いた感じになっちゃってるんですが、時間というのは不思議なもので、40年ぶりの続編を受け入れることができるのは、この「距離感」のおかげかなぁなんて思ったりもしてます。
その「距離感」で本書を読むと、「人間」萩尾望都の姿が見えて、それはそれで興味深い。


…とか言ってるけど、50歳になって、街に立つ僕の横をエドガーがすれ違うなんて考えると、それだけでゾクっとしちゃうんですけどねw。
続編が完結した時に、そんな感慨が訪れるようなら…
いやいや、やっぱりそれは「読んでから」にしましょう。