鈴麻呂日記

50代サラリーマンのつぶやき

なんか、もう一つ…:読書録「妖草師」

・妖草師
著者:武内涼
出版:徳間文庫(Kindle版)

妖草師 (徳間文庫)

妖草師 (徳間文庫)


ここ」一週間強、ひどい風邪をひいているので、あまり頭を使う本を読む気になれず、書店頭で見かけた軽めの「伝奇小説」とみて、DL。
たらたらと数日かけて読みましたが、う〜ん、何かいまひとつ乗り切れませんでした。


異世界から侵入してくる植物(妖草)をネタにした設定は悪くないと思いますよ。池大雅やら何やらの歴史上の人物が登場する展開も、「伝奇小説」の王道。
チョイスもなかなか渋くて悪くありません。


ただまあ、何といいますか、「軽い」んですよね、全体的に。
主人公のトラウマが「幼き日の恋」。
敵役の怨念のもとが、「子供の頃、自分を助けてくれた人の仇」。
それ自体は悪くないとは思うんですが、なんかあっさりとこの「裏事情」が説明されて、さしたるどんでん返しもないままに、対決モードに入るという…。
もうちょっと「ため」というか、「深み」というか、「外連味」というか、一工夫が欲しい感じがあります。
「徳川家への500年を超える怨みが…」
とか何とかw。
ラストの対決シーンなんかは、それなりの迫力もあるんですがね。


続編もあるようですが、まあいいかな。
どっかで化けて、新しい伝奇小説作家として大躍進するようなら、読んでも良いかもって感じですが、なんかそんな感じもないというか…。
風呂敷広げすぎの感はありますが、やっぱりここら辺は「夢枕獏」が上ですねぇ。