・天空の蜂
著者:東野圭吾
出版:講談社文庫
- 作者: 東野圭吾
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 1998/11/13
- メディア: 文庫
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9月公開の映画の予告編を見て、
「面白そうだな」
と思って購入。「東野圭吾」なのでリアル文庫本ですw。
日曜日一日で読み上げちゃいましたから、「面白さ」は問題なし、です。
20年前にコレを書いたってのが凄いですね。
と同時に、「東日本大震災」での福島原発の事故を経ることによって、本書がリアリティを増しているってのもあると思います。
あるいはそれがなかったとしたら、「犯人」の「動機」は、概念的過ぎるように見えたかも。
「事実」と照らし合わせることで、それが「重み」を以て我々に迫ってくる状況が「今」あるといえるかもしれません。
このタイミングでの「映画化」っては、そういう背景ももちろんあるでしょう。
「映画」の方はどうですかねぇ。
文庫に挟み込まれてたチラシを読むと、東日本大震災から過去を振り返る形で「事件」が描かれるようですが、「作品の成り立ち」としては「あり得る」と思うものの(「犯人」のラストのセリフとも重なります)、大震災を経た「現在」の物語として作った方が、さらに緊迫感は増すんじゃないかなぁ、という気もしました。
まあさすがに本書で描かれるような「原発」という存在に対する「他人事」的な世論にはならないでしょうが、それでもそういう雰囲気に近いものが顔を出しつつある・・・って感じもしますからね。
ただそうなるとチョット「政治色」が強くなるかなw。
「反原発」「反自衛隊」といった単純な図式に収まるような作品ではありません。
「リアルに考える」「『現実』を直視する」
問われているのはそういうことだと思います。
今だから読む価値のある一冊。
そう言ってもいいかも。