鈴麻呂日記

50代サラリーマンのつぶやき

読書録「セロニアス・モンクのいた風景」

・セロニアス・モンクのいた風景
編・訳:村上春樹
出版:新潮社

セロニアス・モンクのいた風景

セロニアス・モンクのいた風景



<セロニアス・モンクの音楽の響きに、宿命的なまでに惹かれた時期があった。モンクのあのディスティンクティブなー誰がどこで耳にしてもすぐに彼のものとわかるー極北でとれた硬い氷を、奇妙な角度で有効に鑿削っていくようなピアノの音を聴くたびに「これこそがジャズなんだ」と思った。それによってしばしば温かく励まされさえした。十代の終わりから二十代の初めにかけてのことだ。>(「セロニアス・モンクのいた風景」村上春樹)


いやはや上手いこと言うなぁ。
同じ十代の終わりから二十代の初めにかけて、僕も同じように感じていました。
もっともその時、既にモンクは死去しており、気がつくと「ジャズ」というものの同時代性はかなり漠然としたものになっていて、放り出された僕の音楽遍歴は、以降かなり「迷走」することになるんですけどねw。
ま、それはモンクにも村上春樹にも全く関係ない話ではあります。



「ポートレイト・イン・ジャズ」から加筆訂正された冒頭のエッセイ、色々な人が語るモンクのエピソード、巻末の私的な「レコード案内」



モンクが好きな人にとってはあまり目新しいエピソードはないかもしれませんが、それでも気持ちよく読むことが出来ます。
モンクを知らない人はどうかなぁ。
村上春樹のファンだと、「ジャズを全く聴いたことがない」って人はいないでしょうが、モンクは「好き嫌い」が結構出てきますもんね。
ジャズ絡みの文章の独特さも好みの分かれるところかも。



ま、でも「モンク嫌い」は多分、読まんでしょ。この本。
サクッと言っちゃえば、「ファン本」ですからw。



表紙は和田誠で、安西水丸氏が登場しています。
この経緯が「あとがき」で書かれてて、これもいい感じ。
そこにはちょっと特別な意味合いのある作品かな。