鈴麻呂日記

50代サラリーマンのつぶやき

読書録「仁義なきキリスト教史」

・仁義なきキリスト教史
著者:架神恭介
出版:筑摩書房(Kindle版)



「大塚国際美術館」を一通り回って痛感したのは、「如何に西洋美術においてキリスト教の影響が大きいか」。
中世からバロックのあたりまでは、とにかく「キリスト教」バッカリですからねぇ。
「いいかげん、イエスさんの顔は見飽きたよ〜」
と罰当たりな愚痴も漏らしたくなるくらいですw。
でもそれが「事実」なんですよね。
西洋美術、いや西洋文化・社会における「キリスト教」の重要性は、いくら強調しても強調し足りないくらいでしょう。
・・・で、以前ネット上で評判になってて、その後電子書籍化されていた本書のことを思い出し、旅行中に読み始めました。



いやぁ、実に面白い!・・・でも、コレはコレで罰当たりな・・・。



<キリスト教の歴史というものは、追っていてあまり楽しいものではない。(中略)旧約は排他的・暴力的な色合いが強く、新約は内輪揉めと罵倒に満ちている。それ以降の歴史を見ても表面的に現れる事項は暴力や派閥抗争ばかりであり、まるで聖的な雰囲気はない。(後略)>
<本音ではそうしたキリスト教の俗的な側面を強調するために「やくざ」という見立てを用いた。>



この「飛びつき感」w。
まあ分からなくもないんですが、それにしても広島弁で罵倒しまくるイエスや使徒たちや、教皇、ルターなんてのは・・・。



<留意点として、本音は小説であることを明記しておく。>



とは言っても、信者にとって面白いものではないか、と。それを許してくれるのが、「愛の宗教」なのかもしれませんが・・・。
(「大体あってる」って評もありますがw)



でも信者じゃない僕なんかが読むと、そのあまりの欺瞞と暴力ぶりが、現代の国際政治の有様にも重なってきて、考えさせられもするんですよね。
俗人「イエス」を描きながら、どこかで「聖」的な余地を残しているバランス感覚も好感できます。(信者がどう思うかは何とも言えませんが。しかし「聖おにいさん」よりは真摯じゃないかともw)



まあでも、「入門編」としてはチョット難ありかもしれませんw。
ある程度はキリスト教や世界史のことも頭に入っている人向けのエンタメ本。
こんなところでしょうかね。