・ヤンキー経済 消費の主役・新保守層の正体
著者:原田曜平
出版:幻冬舎新書
そこここで結構評判になってたので、購入。
うん。面白く読めました。
現代日本において「ヤンキー」っていうのが無視できない社会的・文化的影響を持ってるって言うのは従来から言われてきたこと。
本書はその「現状」を広範な実地調査をベースに描き、ビジネスマーケットとしての「マイルドヤンキー」の存在を浮き上がらせています。
僕なんかが知ってる「ヤンキー」は、それこそ「ビーバップハイスクール」なんですが(笑)、今の「ヤンキー」はそういう存在じゃないんですね。
何となーく気づいてはいたけど、それを改めて明確にしてくれたって感じです。
もっとも「全く別世界か」・・・というと、そうでもなくて(笑)、例えば小さな子供のいる家族にとっての「イオンモール」の気楽さって言うのは、マイルドヤンキーの心情にも通じるところがあるなぁ・・・などと思いました。
一方でここで描かれる「地元ヤンキー」の姿は、時折報道される青少年犯罪グループと重なるところもあって(勿論、特異なことではあると思うんですが)、ちょっと考えさせられました。
自分自身がこういう「地縁」に薄い生活を送っていて、そのことについてアレコレ考え始めているってのもありますかね。
正直、現時点ではビジネスマーケットとなり得る存在だとしても、将来的にはどうかなぁとも思います。
この世界観は「低賃金労働」「非正規労働」と分ち難いものもあって、その拡大は社会的不安定さに繋がる危惧もあります。
「コミュニティ」の重要性は僕も認識していますが、それがこういう形なのかってのは「?」です。
もっと多様性がなければ、蛸壺化するだけって印象があります。
ただ安きに流れるとこういう関係性に閉じ籠る危険性ってのは確かにあって、むしろその点を「反面教師」的にとらえ、「コミュニティ」のあり方を考える題材にすべきなのかもしれません。
「今」を考える上では参考になる。
でも「未来」に繋がるとすると、ちょっと不安。
・・・そんな本でしょうか?