鈴麻呂日記

50代サラリーマンのつぶやき

読書録「冬のフロスト」

・冬のフロスト<上・下>
著者:R・D・ウィングフィールド 訳:芹澤恵
出版:東京創元社(Kindle版)



「やっぱりフロストは面白いわ」



上下巻、それぞれが結構な厚さのある大部ながら(ま、電子書籍なんで具体的な「厚さ」は分からないけどw)、トントンと読み終えることが出来た。
読み始める前には「厚さ」にちょっと躊躇しちゃうんだけど、読み終えることには終わるのが惜しくなる・・・ってのも毎度のパターン。
実に楽しめるシリーズです。



「ワンパターン」っちゃあ、「ワンパターン」なんだけどねw。
複数の事件が発生し、それぞれに奔走されながら「直感」と「行き当たりばったり」で事件に取り組み、上昇志向の強い上司や同僚に邪魔されながら、「ツキ」と「運」と「押し」で、何とか事件を解決する。
今回も「少女誘拐事件」「娼婦惨殺事件」「怪盗事件」「白骨死体事件」「フーリガン事件」etc.etcと振り回されながら、現場を走り回ったすえに、何とか全てに決着をつけている。
並外れた「推理力」があるわけでもなく、透徹した「人間力」がある訳でもなければ、「人情」もまあ、そこまで深いものがあるってもんでもなく・・・それでいて「フロストなればこそ」ってところを醸し出すのが、このシリーズの絶妙なところなんだよね。



フロストがいい加減な人間なのは間違いない。
怠け者でもある。
組織人としてのモラルにも問題があるかもしれない。
ただ「刑事」としての自覚と熱意。
この点において、多分フロストには秀でたところがあるのだ。
だからこそ、部下は彼についてくる。(上司には疎んじられる訳だけど)



作者が亡くなったから、このシリーズも未訳はあと一作。
うーん、楽しみでもあり、終わるのが惜しくもあり・・・。
それこそがこのシリーズへの評価そのものでもあるんだよね。