鈴麻呂日記

50代サラリーマンのつぶやき

読書録「民主党政権 失敗の検証」

・民主党政権 失敗の検証  日本政治は何を活かすか
著者:日本再建イニシアティブ
出版:中公新書



政権交代の興奮と期待。
そこから失望への「墜落」があまりにも早く、唐突だっただけに、未だに
「なんで?」
って気持ちがどっかにある。
政権脱落後の迷走に、
「ホントにダメだったんだなぁ」
と念押しされた気分もあるんだけどね。
それにしても…。



本書は福島原発の民間事故調を発表した民主党政権の失敗検証。
事故調後に主要メンバーの船橋洋一 氏が発表した「カウントダウン・メルトダウン」も力作だったけど、バランスのとれたいい仕事をするなってのが本書を読んでの印象かな。
こう言う冷静な視点ってのは、(「失敗の本質」なんかにあったけど)結構日本じゃ貴重だろう。
それじゃイカンのだけど。



で、何が失敗の原因だったのか?



もちろん複層的な要因があるんだけど、ポイントになるのは、
「菅総理の増税発言による参院選敗北」
かな。
コレでねじれ国会となって国会運営の主導権を握れなくなったというのが直接的要因。
そこから民主党のガバナンスの不全とリーダーシップの迷走が顕在化したってのが、より本質的要因かと。



改めて振り返ると、
「準備ができてなかった」
ってことだろう。
そのことを強く認識してたのは小沢一郎だろうけど(直前に自民連携を打ち出してたくらいだから)、その彼を追い出さざるを得なかった民主党内の勢力関係・思想的背景ってのが、可能性の芽を潰したってのもある。
もちろん小沢一郎にも問題は大いにあるんだが…。
(僕自身は「そろそろ引退して、評論家にでもなった方がいいんじゃ」と思ってるんだけどね。
外から意見を言う方が客観的影響力が発揮できるように思う)



財源問題ももちろん大きいけど、コレは進めて行く方向性さえしっかり堅持できれば、修正を加えながらでも理解は得られる。
むしろマニフェストにない普天間やら消費税やら、TPPやらを持ち出し、そこにこだわって瞑想する姿…政策の正否以上にそこに信頼出来ないものを感じちゃったんだよね。
こういうことをシッカリ見える化して進めてくれる…って期待が大きかっただけに。
このリーダーの打ち出しの不明確さと、ソレを支える政党/政権の関係の歪さ、その結果としてのガバナンスの不全こそが民主党の失敗の根本原因だったと思う。
正に「自滅」ですな。



民主党は復活するか?



難しいだろう。
むしろココから自民党も交えた政界再編ができるか、じゃないかな。
その意味じゃ小泉純一郎の「反原発」発言は興味深い。
そこまで見据えた発言なんじゃ…ってのは買い被り過ぎかね?



ただどのような政権であれ、右肩上がりの時代が終わった世界における政権運営をせざるを得ず、そこでの舵取りにおいて民主党政権の失敗は反面教師として参考になるのは間違いない。
政権サイドだけじゃなくて、国民・メディアの方もね。
そういう意味でも一読する価値のある作品だと思うよ。