鈴麻呂日記

50代サラリーマンのつぶやき

読書録「キアズマ」

・キアズマ
著者:近藤史恵
出版:新潮社(Kindle版)



「サクリファイス」「エデン」「サヴァイヴ」に続く自転車ロードレースを題材にしたシリーズ第4作。
「サヴァイヴ」は短編集だったから、実質的には第3作かな?
ただ前作までが基本的に「サクリファイス」の世界を継続していたのに対し、本作は(一瞬、重なる人物が登場するが)新たな登場人物たちを配して、大学の自転車部を舞台にした物語を構築している。そういう意味では「別シリーズ」と考えてもいいくらいだ。(ただ今後は分からないけどね。「サクリファイス」の世界に本作も包含されていくのかもしれない)



とにかく「サクリファイス」の出来が秀逸だからねぇ。
「エデン」「サヴァイヴ」も面白くはあったけど、その「余韻」で読まされてるようなところは少なからずあった。
そういう意味では本作は「サクリファイス」との直接的な関係はない。
となると、作品そのものの「面白さ」で勝負、と言うことになるんだけど・・・。
まあ、「サクリファイス」にはかないません。
それなりに面白いんだけどねぇ。これは「サクリファイス」によってロードレースの「綾」のようなものを知ってしまったことによる影響もあるとは言える。



主人公とライバル
主人公と幼なじみ
ライバルとその兄



それぞれの立場や想いが交叉(キアズマ)する中、ロードレースの中に「自分」を見いだしていく主人公。



上手いことは上手いんだけど、それは「サクリファイス」でも・・・
なぁーんてこと言ってたら、新しい話なんか作れないか(笑)。



独立した作品として読めることは読めるけど、やっぱりこれは「サクリファイス」から読むべきシリーズ。
そこではまった人はなら、この作品も楽しめるはず。
要はそういうことです。
だから、なんだかんだ言いながら、僕は楽しませてもらいましたよ。