鈴麻呂日記

50代サラリーマンのつぶやき

読書録「特捜部Q 檻の中の女」

・特捜部Q 檻の中の女
著者:ユッシ・エーズラ・オールスン 訳:吉田奈保子
出版: 早川書房(Kindle版)



デンマーク産ミステリー。
チョイ評判になってて気になってたんだけど、Kindleストアに文庫版の電子書籍化があるのを見つけて購入。
小説を読むにはKindle paperwhiteはナカナカ快適なデバイスですナ。
短時間で読んじゃったのは、作品の面白さばかりじゃないような気がしてるよ。



読む前は何となく「本格推理」のような気がしてたんだけど(「迷宮入り事件を追いかける」なんて設定だとね)、全然そういうのではなかったw。
政治的なことへのコメントも結構多くて、警察組織内の軋轢なんかも描かれてるから「警察小説」のジャンルに入れてもいいかもしれないけど、むしろそこら辺は「舞台装置」でしかなくて、ジャンル的には「冒険小説」に近いかも。
「競馬シリーズ」を「冒険小説」と言うくらいにはねw。



その一番の象徴が、相棒となる中東人だろう。
この謎めいた人物の「活躍」が本書の読みどころの一つであることには間違いがない。
その謎が十分に明かされていないところから、本書のシリーズ化は多分予定されてたんだろうし、実際既に3作目までが翻訳されている。
Amazonのレヴューなんかみると、後の作品ほど評判がいいようだから、これはこれで楽しみなところではあるね。
文庫を待たずに、サッサと電子書籍化して欲しいところです。



まあ骨子となる監禁事件の方は何だかリアリティ面でどうかなぁって感じもあるんだけど、「ミレミアム」なんかのことを考えると、こういうノリって北欧のミステリーの流行りなんだろうか?
ドラマチックな面白さは十分あるんだけどね。
ラストの味わいも、ハリウッド的脳天気さとは一線を画しながら、人間に対する希望も感じさせてナカナカです。
僕個人にとっては結構ツボだったかも。



ハヤカワは過去作も含めてドンドン電子書籍化を進めて欲しいなぁ。
個人的にはもう一度読みたい作品が一番多い出版社のような気がする。
絶版になった良作も沢山あるから、電子書籍のロングテールを活用するのには最適だと思うんだけどなぁ。
グイン・サーガや、ペリー・ローダン電子化を進めてるから、分かってるんじゃないかとは思うんだけどネ。

期待してます!