鈴麻呂日記

50代サラリーマンのつぶやき

読書録「評価経済社会」

・評価経済社会 ぼくらは社会の変わり目に立ち会っている
著者:岡田斗司夫
出版:ダイヤモンド社(電子書籍)



十数年前に出版した本を一年ほど前に大幅改定して、それを電子書籍化した作品。
ベースが古いのに、内容が古びてないのは、「さすが」だろう。
今の時点で見て、「どうかなぁ?」lつてトコもすくないんだけど、十年前なら「絵空事」だったことが現実化していることも事実。
「絶対にあり得ない」
と否定しきれないのは、その前例があってのことだろう。



現在が大きなパラダイムの変換期にあることはトフラーやその他の先人が指摘してきていることではある(農業革命、産業革命に続く、「第三の波」としての「情報革命」)。
本書はそれを踏まえつつ、トフラー等の描く「未来像」が、結局は現在の「パラダイム」に囚われて貧弱であることを指摘し、変革後のパラダイムを想定しながら来るべき社会像(評価経済社会)を描いている。



すでにツイッターやFacebookなどのSNSの普及によって「評価」の可視化、重要性の増大は近年急速に進展しているが、津田大介氏の「動員の革命」が「今」に立脚した「明日」を論じているのに対して、本書の視野はもう少し遠い。
だがそこにリアリティを感じることが出来るようになってきていることこそ、その指し示す方向性の確からしさの証明と言ってもいいのかもしれない。



勿論、「資本主義」の変わって、評価・価値観が決定的価値観を持つ「評価経済社会」が本当に訪れるのかどうか。
この点は正直なんとも言えないだろう。
岡田氏自身が先駆けて実践しているFREEexがどこまで成果を上げているのか、今ひとつ見えないところがあるし、果たして今の「若者」の価値観を作者が言うような方向性に集約していいのかについても、確信が持てない。
SNSやネット端末の進化/深化には、確かに「評価社会」の萌芽を見ることが出来るようにも思うが、一方で尖閣や竹島のゴタゴタなんかに接すると、リアルなパワーポリティックスの存在を意識せざるを得ないように感じたりもする。(もっともそこでも「評価」「評判」ってのは重要な意味を以前より持ってきてるようには見えるけどね)
作者の言うような方向性が日本や人類にとっていいことなのかどうなのかも・・・。

ま、「そんな善悪を論じても仕方がない」ってのが作者の主張なんだろうけどね。



そういう意味で、僕としては「眉唾」的なスタンスがない訳ではないんだけど、それでも作者の主張を否定しきれずにいるのも事実だ。
「価値観のコーディネートをするキャラが、『近代的自我』に代わる、新たな『自我』のあり方になる」ってのも、毎日毎日RSSのチェックに追いまくられている自分を省みると、何だか納得感もあったりしてw。

今現在が大きなパラダイムの変換期にある。

多分、ここには共通認識があるんだよな。

だとしたらそれを楽しもう。

これも同感。



・・・と言う訳で、「iPhone5」を購入しちゃいました。
ってのはネタっぽいけど、あながち決断の根本にはそういうところ、あるかもねw。



まあ一読に値する作品だとは思うけどね。
むしろ批判するとしたら、こういう内容の作品なのに、電子書籍化が遅すぎる・・・ってことか。
もっとも価格設定(450円だっけ?)はサスガです。