鈴麻呂日記

50代サラリーマンのつぶやき

コロナ禍を「チェンジ」のきっかけとできるか?:読書録「がんばってるのになぜ僕らは豊かになれないのか」

井上純一さんの「中国嫁日記」は結構好きなマンガだったんですよね。

その井上さんが経済に関するマンガを書いてるのは知ってたんですが(「キミのお金はどこに消えるのか」)、書店でパラパラって読んだら、ちょっと面倒臭そうだったんでw、スルーしてしまいました。

僕が読みたいのは「月さん」(奥さんです)とのホノボノ日中文化ギャップなので。

 


で、最近はご無沙汰しておったのですが、何かの書評で本書がオススメされてまして。

「お?経済本じゃないなら読んで見ようかな?」

と勢いで購入。

 


<「キミのお金はどこに消えるのか」というタイトルで好評をいただいていた当連載

掲載誌も変わったので心機一転‼︎

新タイトルでスタートです‼︎>

 


…続編でんがな…。

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でも面白かったんですよね。これが。

元々はピケティが言っている「バラモン左翼とビジネスエリート右翼」について、物凄くわかりやすく説明してくれてる…ってのが読みたかったんですが(物凄くわかりやすく説明してくれています)、連載が「コロナ禍」に被っている時期だけに、そういう環境下での「積極財政政策の重要性」という点にフォーカスが当たってる感じもあって、興味深く読むことができました。

もともと僕のスタンスは、

「経済理論上どうであれ、国民生活を守るためには<積極財政>を打たざるを得ない。そうである以上、そのスタンスから<何に留意すべきか>を押さえた上で、前倒しで取り組んでいく必要がある」

…というものなので。

「経済理論なんてのは現実への対処方法でしかない」と思ってますからね。

 


そういう観点や、「経済か、命か」という問いかけへの回答(「両方」に決まっている)等、僕はかなり作者の考え方に近いと思います。

「コロナはいずれおさまる。その時、経済社会活動が活発化するが、その受け皿となる産業が破壊されていたら何にもならない。したがって、<経済>と<命>を守るためにも、十分な<補償>が絶対的に必要」

ってとこです。

 


色々な意見もあるでしょうし、正直「何が正解か」は僕にもわかりません。

わからないんですけど、ここで「緊縮財政」(プライマリーバランスを目指した財政削減や増税等)なんかしたらトンデモナイことになっちゃうのは確かだと思います。

実際「失われた20年」だか「30年」だかは、その帰着でもあるわけですから。

世界全体が「積極財政」を前提とした経済政策に舵を切る以上、そこに歩調を合わせて経済政策を打っていくのは日本にとって必須のスタンスかと。

大きな流れに反してもいいことなんか一個もないですからね。

 


しかし経済政策に限らず「コロナ禍」が日本の統治機構・制度のガタガタぶりを炙り出してくれてるのは間違いないですねぇ。

オリンピックの方を見たら組織運営体制や社会文化の方でもいろんなことが見えてきてる感じ。

そこには「反動」的な動きもあります(LINEの件にはそこら辺の嫌らしさも感じます)。

ただそこに屈してしまったら、今後の日本の先行きはかなり危ういものになっちゃうんじゃないかなぁ…。

いや、マジで危惧してます。

 


しかしこの本、思ってたより面白かったなぁ。

先行してるシリーズ本も読もうかしらん。

 


*「バラモン左翼とビジネスエリート右翼」は、ソ連崩壊以降、左翼も右翼も社会的経済的弱者(「大衆」とも言えます)から遊離して理論を振りかざし、「大衆」を置き去りにした政治・経済運営を行っている「エリート主義」のことです。

…たぶん。

 


#読書感想文

#マンガ評

#井上純一

#がんばっているのになぜ僕らは豊かになれないのか

「鬼滅の刃」に続くのは…

息子と娘のオススメはこちら…

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「呪術廻戦」(娘)

「ワールドトリガー」(息子)

 

どちらもアニメを見ての「オススメ」。

これは「鬼滅の刃」もそうでした。

 

で、両方ともマンガで読んだんですが(ええ、読んじゃいましたw)。

 

うん。

確かにどっちも面白い。

 

面白いんだけど、個人的には「ワールドトリガー」かなぁ。推しは。

世の中的には「呪術廻戦」の方がブームの手前って感じだと思うんですが、確かにいいんだけど、「おどろおどろ」系の、「鬱展開」は、やや食傷気味かも…。

「ワートリ」のゲーム的なノリとか、手塚治虫系の画風とか、結構ツボです。

(加えて大量のキャラを出しながらも、位置関係等、アクションでも整理して見せてくれる画面構成力も大したもの)

もっともストーリー的には「ワールドトリガー」の方が<まだまだ続く>感じがムンムンなんですがw。

 

「ラノベ」がどちらかというと主人公の「TUEEEE〜」(無双でチートな圧倒的強さ)で引っ張ってるのに対して、ここら辺のジャンプ作品は(鬼滅も含めて)「チーム戦」的な面白さを追求してる感じ。

まあ、そういうのは昔からあったといえばあったんですけど、チョット面白い傾向かな、と個人的には思ってます。

 

どちらもまだまだ盛り上がりそう。

しばらくは楽しませてもらえそうです。

(まずは「呪術廻戦」の<渋谷事変>。どうなんの、これ?)

 

 

#マンガ評

#呪術廻戦

#ワールドトリガー

#鬼滅の刃

何はともあれ、「その腹をなんとかせぇ」っちゅうコトですなw:読書録「脳寿命を延ばす」

・脳寿命を延ばす 認知症にならない18の方法

著者:新井平伊

出版:文春新書

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年明けから「50肩」に苦しんでおりまして…。

いや、もう50代だから、「60肩」?

ともかく右肩が「上がらない」「回らない」って状態になってまして、ここ1ヶ月ほど整形に通いつつ、ストレッチ・リハビリを繰り返してます。

ちょ〜っとずつ、動くようにはなってますけどねぇ。

 


それこそ20年くらい前に「40肩」になったことがあるんですが、今回はその比じゃない。

歳をとって、身体にガタがきてるのは当然なんですが、その影響も昔よりは深く、広く、長くなってるんだなぁ…と。

 


で、本作。

身体にガタがくるのはある意味しようがないとして、せめて「頭」の老化の方は少しでも遅らせれたら…って下心です。

ちょっと「単語」が出て来なくなってきてますからね〜、ここのところ。

(「え〜、あれなんだっけ?<絵>は頭に浮かんでるし、ここまで出てきてるんだけど、ほら、あれ・・・」)

 


読んでみれば、「当たり前」のことが書かれています。

「18の方法」ってのは以下。

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「なぜそれが重要なのか」ってのが本書では書かれていて、いちいち納得なんですが、一番根っこにあるのは、「身体的健康を維持すること」。

…いや、身体にガタが来てるから、「せめて脳寿命を」と思って、読んでみたんですけど?

その答えが、

「そのガタをなんとかせぇ」

 


そんなこっちゃないかとは思ってたんですけどねw。

そんでもって、一番悪いのが「肥満」。

はい、はい、そうじゃないかと思ってましたよ。

 


でもまあ、やっぱり足掻きたいですからねぇ。

大阪に戻ってきて、ちょっとダイエットの方は「片手間」モードだったんですが(単身赴任だと、一人で倒れるリスクがありましたから)、ここは気合入れ直さんといかんかな。

…というのが、本書を読んでの感想ですw。

 


次はまたダイエット本かなw。

 


#読書録

#脳寿命を延ばす

こりゃ確かに出来がいい(原作との距離感はともかくw):映画評「陰陽師 とこしえの夢」

…というわけで「二つの世界」より前に公開されたこの作品を続けてみたんですが、

こりゃまあ、「二つの世界」よりかなり出来がいいですな、確かに。

それは始まって数分で「納得」です。

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本作の方は「夢枕獏原作」を明確に打ち出していて、「確かにそういう話もあったかな〜」って感じもあるんですが、テイストは全然違うw。

「人間世界」はやっぱりファンタジー設定で、それを舞台にした、大バトル・アクションCG大作って感じです。

なんだけど、「ヒトの哀しさ」みたいなものもしっかりテーマには組み込んでて、そこら辺が原作オマージュにもなってるかな。

チョット推理ドラマっぽい展開もありますしね。

 

 

まあ、よくよくストーリーを考えてみると「?」ってとこもあるんですが、怒涛の展開で「ま、いっか」ってノリ。

振り返ってみると、「一番、晴明が活躍してないんじゃないの?」ってのもあったりしますw。

(博雅の方は「大バトル」でノリノリです)

着地点の二人の「バディ」感は原作とは全然違うんですが、この作品の流れから言えば「納得」だし、「次に期待」って感じにもなってます。

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本作、「2部作」になってて、すでに続編も制作済みとのこと。

ただ中国本国で監督が「盗作騒動」に巻き込まれてしまい、本作も公開から10日間ほどで上映停止、続編の公開も目処が立たない状況になっているとか。(世界配信だけはNetflixで予定通りされています)

その最中に「二つの世界」が配信されることになったんで、「もしかして続編?」と期待しちゃった人もいて、そのことが「二つの世界」にはマイナス評価につながったってのもあるようです。

そこらへんの背景を除いても、やっぱり出来は本作の方が良いですけど。

(個人的には晴明と式神の「箱庭的世界」を実写化した「二つの世界」も捨てがたいんですけどね。ゲームの実写化という意味ではやっぱり「あり」だと思います。

物語的面白さとは違う評価ですがw)

 

 

独特の美的感覚もあって、それが世界観の構成に活きてるってのあって、予想以上に楽しい作品でした。

「盗作騒動」の方は結構本国じゃ大騒ぎのようですが、過去の話で、別に本作が「盗作」ってわけでもないですからねぇ。

Netflixで中国を除いて世界配信先行…というわけには行きませんかねぇ〜。

 

#映画評

#Netflix

#陰陽師

#とこしえの夢

ゲーム世界の実写化という点では悪くないのではないか、とも:映画評「陰陽師 二つの世界」

「陰陽師」といえば「夢枕獏」ですが、本作はそちらが原作ではなくて、中国で制作されているゲームをベースにした映画のようです。

もっとも「晴明」と「源博雅」が登場するあたり、ゲームと夢枕作品の関係は「?」なとこもありますがw。

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日本ではNetflixオリジナルになってますが、本国では劇場公開されたのこと。

ただ興行成績そのものは「今ひとつ」だったようです。

まあ、脚本がチョット「弱い」ですかね。

分からなくもない。

 

でも、個人的には「ゲーム世界の実写化」という点では悪くないとも思います。

「妖の世界」とか、妖怪、式神等、なかなかバラエティに富んでて楽しめました。

もっとも「二つの世界」のもう一つ、「人間の世界」の方の設定が中国版ファンタジーになっちゃってるんで(「平京城」とかw)、「人間界」も「妖界」もリアリティが薄くて、そこらへん、ストーリーのメリハリのなさにもつながっちゃったかもしれません。

 

どうも中国では「陰陽師/晴明」ってのは人気があるらしくて、本作以前にも「陰陽師 とこしえの夢」という作品が制作されています。

こちらがなかなかも評判なので、そこら辺と比較されて本作の評価が低くなってるって面もあるのかもしれません。

「チェン・クン」の晴明、僕は結構好きなんですけどねぇ。

 

「とこしえの夢」の方も、Netflixにありますから、こっちも観た方がいいかな?

しかし僕も、結構な「陰陽師」好きですな、こうなりますとw。

 

#Netflix

#陰陽師

#二つの世界

#映画評

30年前の宿題にようやく手をつけるというお話w:映画評「星の王子 ニューヨークへ行く2」

前作は人気絶頂エディ・マーフィーのお下品なブラックパワー<おふざけ>映画。

今作は「ルディ・レイ・ムーア」で復活したエディの、やっぱりお下品なブラックパワー<おふざけ>映画w。

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豪華な出演陣、多様なブラックミュージックを楽しむ…って言う点ではどちらも変わらない。

「下品なおふざけ」に関しては、まあ時代もずいぶん変わりましたからねぇ。

乗れるか乗れないかは、結構分かれるんじゃないでしょうか?

正直、前半は僕も「う〜ん…」だったんですが、割り切ったら後半はそれなりに楽しめましたw。

 

「作る必要があったか?」

 

どうかなぁ…。

別に「観たかった」ってのはないですし、観てからも「ああ、だから作る必要があったのか」って感じにもなりませんでした。

人気があろうと、忘れられていようと、復活しようと、「エディ・マーフィー」は「エディ・マーフィー」だなぁ、と。

ストーリーとしては、

「いや、それはお前が30年前にやらんとあかんかったことやろ!」

って話なんですが、そう言うテーマを語る映画でもないですしねぇw。

「お好きな人は、どうぞ」

って感じでしょうか。

 

あ、ウェズリー・スナイプが楽しそうに演ってるのは良かったです。

この人も、山あり谷あり…w。

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#prime_video

#coming_2_america

#星の王子ニューヨークへ行く2

観終えて振り返ると、意外に邦題も悪くないかも…と:映画評「時の面影」

キャリー・マリガン、レイフ・ファインズ主演のNetflixオリジナル映画。

イギリスの重要な遺跡である「サットン・フーの船葬墓」の発掘秘話…をベースにしたストーリーです。

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サフォークの美しい景色、30年代から40年代のイギリスの生活様式、差し込む光を効果的に使った絵、達者な演技陣。

 

「傑作」というと言い過ぎでしょうが、「良質な映画を観た」って気分にはなれました。

「サットン・フー」の遺跡に関する簡単な知識はあった方がいいですがね。(僕はWikiで調べましたw)

 

原題は「The Dig」。

「発掘」…ですかね。

「この茫漠たる荒野で」もそうでしたが、Netflixの邦題のつけ方は…と思わなくもないんですがw、見終えてみると、意外にこの邦題も「ありかも」とか思ったりして。

センチ過ぎるっちゃぁ、センチ過ぎるんですけどねw。

抑えた演出・演技の映画ですが、「過ぎ去っていく時の流れの中で、人が生きて、死んでいく」と言うことに想いを馳せさせる作品だと思います。

 

 

<以下、若干のネタバレがあります。観る予定がある方は読まないで下さい>

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観る前は主人公二人の「中年男女の恋愛物語かぁ」と予想してたんですが、全然違いましたw。(チョット「気配」くらいはあったかな)

「遺跡の発掘」

と言う<人が遺したものにたずさわる>物語に合わせて、

「時の流れの中で、去っていくことが定められている人の想い」

みたいなものが、病によって幼い息子を残していかなければならないヒロインと、「遺跡」の発掘に絶対的な自信がありながら、大学を出ていないがために、発見の栄誉を得ることができない主人公の人生から浮き上がってきます。

 

発掘をするのは栄誉のためなのか、名を残すためなのか。

 

そう妻から突きつけらた主人公が「発掘」への想いを取り戻すシーンや、「死」を恐るヒロインに、人の営みの意義を主人公が語るシーンにはグッときます。

 

洞窟の壁の手形から続いている。私たちもその悠久の時の一部です。だから…消え去るわけではない。

 

そしてラストの抑えに抑えた「別れ」のシーン。

いやはや…。

 

「The Dig」(発掘)には、栄誉も名も失われていた「ジョン・ブラウン」と言うアマチュア考古学者の「発掘」と言う意味もあるでしょう、

彼の名が、ヒロインの名と共に遺跡の歴史に残ることは喜ばしいこと。

でもその栄誉そのものが「目的」ではないのだ、と言うのが、本作の「深み」でもあると思います。

 

#映画評

#Netflix

#時の面影

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