鈴麻呂日記

50代サラリーマンのつぶやき

楽しみなシリーズがまた…:読書録「恐怖を失った男」

・恐怖を失った男
著者:M.W.クレイヴン 訳:山中朝晶
出版:ハヤカワ文庫(Kindle版)

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大好きなポー・シリーズの作者による新しいシリーズ。
こちらはミステリーじゃなくてストレートなアクションものになるんですけどね。
ポー・シリーズに関しては、何よりもまずその読みやすさとスピーディーな展開。そしてどんでん返しが読みどころなんですけれども、このシリーズでもそれは継続されています。
短い章で物語を展開させて、畳み掛けるようにストーリーが展開していくのがなんとも読んでて気持ちいいんです。


頭部の怪我によって恐怖を感じなくなった元連邦保安官ベンは、ある作戦の実行後、突然失踪してしまっていた。6年が経って、ベンはかつての上司から、行方不明の娘を捜索するよう依頼される。彼はこの依頼を引き受けることにより、複雑で危険な事件に巻き込まれて行く…


ストーリーはストレートに進むんですけれども、設定自体は実は結構凝っています。
主人公のベンは過去の事件の影響で「恐怖」を感じないようになっているんですが、その経緯とか、
別の作戦の後なぜ6年間も失踪していなければならなかったのかとか、
今回の事件で彼をサポートしてくれるジェニと言う女性となぜ「不倶戴天の敵」と言う関係性にあるのかとか、
そうしたキャラクターのバックストーリーを回想や説明で明らかにしていくんですけれども、それを手際よく邪魔にならない感じで、物語の中に織り込んでいく手腕は相変わらず何ともたいしたものです。
まあ、ちょっと「ご都合主義すぎないか?」って展開がなきにしもあらず、ではありますがw。


シリーズの第二作はもうすぐ発表になるようですね。
ポー・シリーズの新作も順調に発表されているようです。
楽しみなシリーズが1つ増えた事は嬉しい限りです。
ポーとブラッドショーの関係はブラッドショーのポーに対する全幅の信頼によって非常に読み応えのあるものになっていますか、それとは対照的に「不倶戴天の敵」と称されるベンとジェニの関係は今後どうなっていくんでしょうね。
そこら辺がシリーズとしての読み読みどころになっていくのかなあ。
まぁ、次作を楽しみに待たしてもらいます。