鈴麻呂日記

50代サラリーマンのつぶやき

「多様な教育」を選択することに社会は耐えられるのだろうか?:読書録「子供が面白がる学校を創る」

・子どもが面白がる学校を創る 平川理恵・広島教育長の公立校改革

著者:上阪徹

出版:日経BP

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我が家の子供たちは、もう高校生になっていて、それぞれ「私立」に通ってますから、「公立校改革」には直接の関係はないんですが…。

ただまあ、小学校は二人とも公立に通って、転勤に伴って、東京(練馬)・石川(金沢)・大阪(豊中)の学校を見てきました。

その経験もあって、「やっぱり公立高が変わらないと…」という思いはあるんですよ。

それもあって、読んでみました。

ま、「広島」は妻の出身地で、馴染みがあるってのもありますかね。

 


内容はナカナカ面白かったですよ。

まだ「改革」は着手されたばかりで、「成果」という点では判断は早すぎますが、改革の大胆さ、スピード感、柔軟さ…あたりは、「ほう?」と感心させられます。

改革の中身としては帯に挙げられてる、

 


・民間女性を教育長に招聘

・異学年集団(イエナプラン)の導入(小学校)

・国際バカロレア認定校を公立で設立(中・高)

・専門学校(商業・工業・農業)のアップデート

・学校図書館のリニューアル

・内申書の見直し(評価比率を2割に)

・スペシャルサポートルーム設立による不登校対策

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と多岐に渡り、具体的に取り組まれています。

個人的には「?」なところもあるんですが、課題認識や取り組みの仕方・スピード感には同感できるところも多いです。(「イエナプラン」「バカロレア」には僕は懐疑的。「内申書」は2割でも高いと思いますw)

 


実行できているポイントは以下ですかね。

 


①知事の強い問題意識があり、サポートも積極的

②教育長が「ビジネス」偏重ではなく、「教育」「教育現場」に対する一定の知見・経験がある

③実施にあたっては外部人材の協力を得て、教員のサポートをしている

④「押し付け」ではなく、「巻き込み」を意識した取り組みをしている

 

 

 

本書を読んで、僕自身は、

「ナカナカ面白くて、チャレンジングなことしてるやん」

と感心しています。

その一方で、

「う〜ん、どうなるかなぁ」

と思ってるところも。

一番は

「公立校が<多様化>したときに、<選択>する親や社会は、そのことに対応できるのか」

ってとこでしょうか?

実態としてはそうなっていない側面はあるとはいえ(転勤でそのことは実感しています)、基本的には公立校の場合、「どこでも同じ教育がされている」ってのが<建前>。

だからこそ住んでる近くの小学校・中学校に通わせるわけです。

その<建前>が否定されたとき、親・教員・社会は<選択>の結果を引き受けることができるのか?

「高校」はまだしも、小・中にはその懸念を感じざるを得ません。

(教員の転勤によって、そこが標準化されて行くことを期待しているようではありますが)

 


あとは「リーダー」ですかね。

この取り組みは知事・教育長の強いリーダーシップで進められているもの。

でも選挙がありますから。

万が一、リーダーが変わったとき、果たしてこの改革はどうなるのか?

これは大きな懸念材料です。

 

 

 

…とは言え、全体としては僕はこの取り組みには「賛成」です。

この流れの向こうにどういうことが生じてくるのか。

それを見てみたい気持ちは強くあります。

「お手並み拝見」

県民でもない僕にはそれしか言いようがないんですけどね。

 


平川さん。

大阪に来てくれませんかねw。

 

 

 

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